オープンイノベーションにおけるPoCの意義
オープンイノベーションを始める際も、PoCというプロセスは非常に重要だ。お互いに未知の部分が多い他社との協業では、狙った事業目的を果たせるのかどうか等、分からない部分は大きい。加えてオープンイノベーションを行うと、自社で全てまかなう場合に比べればコストも大きくなるし、大企業とスタートアップとでは事業のゴールやスピード感が著しく異なる。実際に手を動かして初めて実感する部分もあるだろう。こうした不安や不明点も、PoCの実施によってある程度取り払うことができる。
PoCを実施した結果、場合によっては、お互いに「実はオープンイノベーションを行う必要がなかった」ことに気が付くことができるかもしれない。こうした知見が得られた場合も、PoCは成功したといって良いだろう。オープンイノベーションもPoCも手段であって目的ではないからだ。
真に意義のあるPoCを行うには、まず経営陣と現場担当者、オープンイノベーションなら大企業とスタートアップとで、共通の目的意識と評価軸を持つこと。そして必ず終了後のフィードバックを行い、必要に応じて再度PoCを実施することが求められる。
マーケティング分野ではテストマーケティングや市場調査が重要視されているが、それと同様にPoCにも目に見える結果によって企業や個人の思い込みを是正し、軌道修正を促す効果がある。
導入を検討している技術やアイデアがあるのなら、まずはそれによって解決したい課題や見せたい価値は何なのか、明示することから始めてみよう。