第一に、起業家や投資家等の総参加者数2000人の中で、日本人がなんと100人を超え、5%を占めていた。従って、あちこちで日本語の会話が聞こえる状態であった。
第二に、その中で2人の日本人がメイン会場でプレゼンをした。1人は高島宗一郎(たかしま・そういちろう)福岡市長。福岡市はこの他にも、サンフランシスコ、テルアビブ、ヘルシンキ、台北などのイベントにも参加しており、今回は特に独自のピッチを実施し、優勝者には福岡での1年間の滞在ができるという賞品が提供されるということで、拍手喝采を浴びていた。
もう1人はシリアル・アントレプレナー(連続起業家)の孫泰蔵(そん・たいぞう)氏。既に柏の葉でスタートしている「VIVITA」(子供たちに最先端のテクノロジーを自由に使わせ、自分のアイデアをカタチにできるクリエイティブ・コミュニティ)の拠点を、数カ月の間にタリンにも開設すると発表し、これも拍手喝采を浴びていた。
第三に、福岡市をはじめ、日本のベンチャーがいくつかのブースを開設していた。これだけ日本のプレゼンスのある外国のベンチャーイベントは、他にはないのではなかろうか。
それは、電子居住権(e-residency)を取得してしまえば簡単に会社設立もできてしまうという、世界最先端の電子国家というブランドが起業家たちに好評だということだ。タリンに拠点を置いて北欧で活躍する日本人VCの存在もある。
独特のピッチ・システム
既に10年目となるイベント全体にも、他にはないユニークなものがあった。
逆ピッチ。投資家を登壇させ、ピッチをさせる。3分間の制限時間が来ると、ここぞとばかりストップがかかる。そして質問の嵐。起業家が味わっているピッチの苦労を、投資家にも味わわせようという趣向のようだ。
スカイダイビング・ピッチ。実際に、起業家にセスナ機からのスカイダイビングをさせ、その最中にピッチをさせ、それをビデオに撮った映像を見せるというもの。風圧で口のまわりがぶるぶる震えながらの真剣なピッチは、ユニークな試みと思った。
子供の登壇。母親の起業家が10歳の息子を登壇させた。堂々と自分の夢を語る姿に、エストニアの未来は明るいと感じさせた。