一方携帯電話網に比べると、LPWAの通信速度は格段に遅い。実効性能で数Mbpsから数百Mbpsの速度が出る現在の携帯電話網に対し、LPWAの通信速度は100bpsから数kbps。もっとも、各種センサーが発する小容量のデータを低頻度で集めるようなIoTの用途で、LPWAの通信速度の遅さは必ずしもデメリットにならない。逆に、いったんセンサーを設置した後、長い期間にわたって継続してデータを収集・蓄積する用途なら、消費電力の低さの方が大きなメリットになる。現に、携帯電話網の市場をLPWAが侵食するような動きも出てきている。

 LPWAを用いたデータ通信サービスは、欧米で始まった。2012年から、仏シグフォックスによる「Sigfox」や米セムテックが開発した技術を用いた「LoRa」など、独自仕様のLPWAによるサービスが相次いで登場。欧州では2015年頃から、従来は主に第3世代(3G)携帯電話網が使われていたデータ通信市場を、LPWAが取って代わるようになってきた。

 この状況に危機感を覚えた欧州の携帯電話関連機器ベンダーなどが、第4世代(4G)携帯電話網の仕様として、セルラーLPWA(4Gを使うものについてはLTE版LPWAとも呼ぶ)を急きょ規格化し(表1)、世界各国の通信事業者が採用する流れが起きた。2018年初頭には中国や北欧でLTE版LPWAの規格に基づく新サービスが始まる。

表1 独自仕様LPWAとセルラーLPWAの比較

 実用化の面で欧米にわずかに遅れたが、国内でも2017年にSigfoxやLoRaのデータ通信サービスが次々と始まった。また、大手の携帯電話事業者3社はいずれも、LTE版LPWAのサービスを2018年度中に開始する計画だ。

 2018年はいよいよ、日本のLPWA時代の幕が開く。そうなれば、無線センサーネットワークを効果的に活用したIoTの本格的な展開が始まり、新たなビジネスチャンスが生まれる公算が大きい。