取締役会を活性化させる上で、非業務取締役の存在がクローズアップされている(写真:NYCKellyWilliams/shutterstock)

 優れた人材の確保、活用がますます企業の競争力を左右する時代になってきた。それに伴い、人事領域をつかさどる人間が経営に参画することの必要性が高まっている。人事戦略と経営戦略はどのようにリンクさせ一体化させるべきなのか? ヤフーで人事部門のトップを務め、現在は企業の人材育成や1on1 ミーティングの導入指導に携わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が、「経営人事」を深掘りしていく。

 前回に引き続き、商船三井の取締役を務める毛呂(もろ)准子氏(※)と取締役会の活性化と、カギを握る社内出身の非業務執行取締役について掘り下げる。

※肩書きは2024年11月当時

クローズアップされる社内出身の非業務執行取締役

 皆さん、こんにちは。本間浩輔です。この連載では、「経営人事の仕事論」というテーマで「経営人事」について深掘りしていますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今回も商船三井の取締役を務める毛呂准子さん(※)の話をフックに、経営人事という目線から取締役会について考えてみたいと思います。彼女には僕が講師を務める慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)の講座「経営人事の仕事論」でお話しいただきました。

※肩書きは2024年11月当時

 前回は、社外取締役の導入が形だけになっており、コーポレートガバナンスの実践という点で、必ずしも意味のあるものになっていないのではないかという問題を提起しました。例を挙げるまでもありませんが、コーポレートガバナンスが問われる事案は2025年も相次いでおり、現場の社員が仕事に集中できない状況が散見されます。

 こうした状況を踏まえ、毛呂さんのような社内出身の非業務執行取締役の重要性がクローズアップされるようになっています。それは、社外取締役の弱みを補う強みを社内取締役が持っているからです。それがどういうことなのか。まずは社外取締役の強みと弱みから見ていきましょう。