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 優れた人材の確保、活用がますます企業の競争力を左右する時代になってきた。それに伴い、人事領域をつかさどる人間が経営に参画することの必要性が高まっている。人事戦略と経営戦略はどのようにリンクさせ一体化させるべきなのか? ヤフーで人事部門のトップを務め、現在は企業の人材育成や1on1 ミーティングの導入指導に携わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が、「経営人事」を深掘りしていく。

 今回から2回にわけて、商船三井の取締役を務める毛呂(もろ)准子氏(※)に取締役会と経営人事の関係、とりわけ最近増えている業務の執行に関わらない非業務取締役の役割について聞く。社外取締役だけではない取締役会を活性化させる方法とは。

※肩書きは2024年11月当時

最近増えている非業務執行取締役とは

 皆さん、こんにちは。本間浩輔です。この連載では、「経営人事の仕事論」というテーマで「経営人事」について深掘りしていますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今回の記事は取締役会と経営人事の関係について。特に、非業務執行の取締役をテーマに話を進めたいと思います。非業務執行の取締役と聞いてすぐにピントくる人はあまりいないかもしれませんが、非業務執行の社内取締役はとても興味深いポジションで、経営人事を考える上で格好のテーマだと感じています。

 皆さんもご承知のように、コーポレートガバナンスの観点から、業務とは無関係の独立的な取締役として、社外取締役を一定数置く企業が一般的です。企業価値の向上や不祥事などが増えている現状、社外取締役の重要性はますます高まっているという声も上がっています。

 一般的に、私たちは「社内取締役は社内の人であり、執行側」「社外取締役は社外の人(その会社に在籍したことのない人)であり、学識経験者や他社の取締役を経験した経営のエキスパート」という整理をしがちです。

 ところが、最近は社外取締役の他に、社内出身の取締役でありながら執行には関わらない非業務執行取締役を置く会社が出始めています。この社内取締役でかつ非業務執行というのはとてもユニークな立ち位置で、取締役の実効性を考える上で示唆に富む存在です。