山陰合同銀行 代表取締役 専務執行役員の吉岡佐和子氏(撮影:冨田望)

 日本で人口最少地域の島根県、鳥取県を主なマザーマーケットとする山陰合同銀行が、4期連続で最高益を更新している。背景にあるのは、これまで他業務を担ってきた女性を中心とした行員を法人向けコンサルティング業務へ再配置する「配置転換」だ。組織をあげたリスキリングを行い、対象行員を法人向けコンサルティング担当者として戦力化した。全国でも異例の取り組みについて、代表取締役専務執行役員の吉岡佐和子氏に話を聞いた。

野村證券とのアライアンスで進んだ「銀行×証券」統合改革

――山陰合同銀行では、総人員を増やすことなく「戦略分野」へ多数の人員を再配置してきたとのことですが、どのような取り組みなのでしょうか。

吉岡佐和子氏(以下、敬称略) 店舗ネットワーク再編、野村證券とのアライアンス、業務の合理化・効率化等により人員を捻出し、法人コンサルティング分野やデジタル分野等の戦略分野・エリアへ再配置しています。

 当行は、1941年に松江銀行と米子銀行が合併して発足しました。長い歴史の中でも大きな転換点は2つありました。

 1つ目の転換点は、1991年に鳥取県の第二地方銀行「ふそう銀行」と合併したことです。従前からあった山陽、関西方面の店舗ネットワークがさらに広がり、“広域地方銀行”としての素地が固まりました。これにより、より広範な拠点に営業人材を配置する必要が生じました。

 2つ目は、2020年の野村證券とのアライアンスです。銀行と証券のビジネスラインを一つに統合する全国初の試みで、業界的にも前例のない改革でした。

 当行内では構造改革が一気に進んだ時期、全国的には金融機関に求められるコンサルティングサービスの需要が一層高まっていました。こうした行内外の動きの中で、当行ではリスキリングによる人材育成に力を入れていきました。