ジヤトコ代表取締役社長兼CEOの佐藤朋由氏(撮影:榊 水麗)
2025年3月期連結決算で最終損益6708億9800万円の赤字を計上し、経営再建を迫られている日産自動車。再建計画の柱の1つとして、次世代EVおよびハイブリッド技術を搭載した新型電動車の各国市場への投入を打ち出している。電動パワートレイン「X-in-1」を日産と共同開発し、今後、製造を担当するのが、日産の子会社でありCVT(無段変速機)で世界シェアトップのジヤトコだ。同社は大規模な電動パワートレイン生産にどう対応するのか? 佐藤朋由社長に聞いた。
電動化時代は中国との戦いでもある
──今、あらゆる自動車部品メーカーが電動化への対応を迫られています。ジヤトコも例外ではありませんが、そもそもこれまでジヤトコはどのような歴史を歩んできたのでしょうか。
佐藤朋由氏(以下敬称略)当社は、1970年に日産自動車の富士工場(当時の名称は吉原工場)で、日産、フォード、東洋工業(現マツダ)の3社が合弁で設立した日本自動変速機株式会社(JATCO)がルーツとなっています。
私が日産に入社した1980年前後は、新型車のトランスミッションがちょうどマニュアル(MT)からオートマチック(AT)へ移行する時期でした。その約20年後の1990年代後半にはCVTの開発が本格化し、1997年には世界初の2リッタークラス金属ベルト式CVTを開発しました。
その後2002年に三菱自動車のAT・CVT部門が独立したダイヤモンドマチック社にも参加いただき、2007年にはスズキにも出資いただくという形で現在に至っています。
興味深いのは、われわれが手掛けている技術の流れです。MT、AT、CVTと、それぞれ約20年周期でトランスミッションに新たな波が押し寄せ、その都度、主力技術の栄枯盛衰を繰り返してきました。現在の電動化も、この延長線上にある大きな変化として捉えています。
ただし、今回は単なる技術革新だけでなく、中国メーカーの急速な台頭という要素が重なっており、変革と同時に新たな競争軸での勝負が求められているという点で、これまでとは異なる複雑さがあります。






