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優れた人材の確保、活用がますます企業の競争力を左右する時代になってきた。それに伴い、人事領域を司る人間が経営に参画することの必要性が高まっている。人事戦略と経営戦略はどのようにリンクさせ一体化させるべきなのか? ヤフーで人事部門のトップを務め、現在は企業の人材育成や1on1 ミーティングの導入指導に携わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が、「経営人事」を深掘りしていく。
今回は、横浜F・マリノスのスポーティングダイレクター(SD)を務める西野努氏に聞くタレントマネジメントの3回目。世界最高峰のサッカークラブを通して学ぶが実践している組織文化の変革や勝てる組織の作り方について。
最も難しい組織文化の変革
皆さん、こんにちは。本間浩輔です。この連載では、「経営人事の仕事論」というテーマで「経営人事」について深掘りしていますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
僕が講師を務める慶應丸の内シティキャンパス(慶應 MCC)の講座「経営人事の仕事論」に横浜F・マリノスのスポーティングダイレクター(SD)の西野努さんをお招きし、本連載でその内容をお伝えしてきました。
今回はその最終回です。前回議論した組織文化の変革について、さらに深掘りしたいと思います。
前回お話ししたように、企業に根付いている組織文化はなかなか変えることができません。西野さんは浦和レッズのテクニカルダイレクター(TD)時代に、監督と30人余りいる選手の3分の1を入れ替えましたが、それでもピッチの空気を変えることはできなかったそうです。それだけ、組織文化を変えるというのは難しいことです。
企業の場合、雇用関係にある社員をドラスティックに入れ替えることなどできません。また、多くの日本企業には社員同士の衝突を避けるような価値観があります。その中で、理想の組織や戦う集団を作るにはどうすればいいのか。逃げ場のないグローバル競争の中で、どのようにカルチャーを変えていけばいいのか。
これは、難しい問いであると同時に、CHRO(最高人事責任者)として間違いなく取り組まなければならないテーマです。僕は、皆さんに提示できるような“正解”は持ち合わせていませんが、ヒントになりそうな話は持っています。今回はそれについてお話しようと思います。






