沖縄ファミリーマート 恩納たんちゃ店(提供:沖縄ファミリーマート)

 全国のコンビニで定番商品となった淹れたてコーヒーやフライドチキン。実は、これらをいち早く商品化したのは沖縄ファミリーマートだった。地域の食文化と暮らしに根差した地域密着型の商品開発が、他社が追随するヒット商品を生み出した。AI全盛の時代となった今、出店戦略においても地域の生活者の“肌感覚”を貫く。県内の店舗数、平均日販でトップを走る沖縄ファミリーマートの強さの秘密について、 代表取締役社長の糸数剛一氏に話を聞いた。

フライドチキンのヒットを予見できた理由

──現在ほとんどのコンビニが淹れたてのコーヒーやフライドチキンを定番商品としていますが、沖縄ファミリーマートは本州のコンビニ各社よりも前に展開を始めていたそうですね。

糸数剛一氏(以下、敬称略) はい、どちらの商品も、私たちが本州のコンビニよりも先駆けて本格的に展開し始めました。

  沖縄ファミリーマートのフライドチキンは「フラチキ」という商品名で、通常のコンビニのものとは違い、骨付きの揚げ鶏です。2000年に売り始めたこの商品がまずは沖縄で大ヒットし、数年後には本州のコンビニでも同様の商品が見られるようになりました。

オリジナル商品の「フラチキ」

糸数 フラチキが生まれた背景には、当社の商品開発の基本方針があります。それは「沖縄県民が日常的に食べているものを商品にすること」です。

 沖縄は戦後、27年間のアメリカ統治で、アメリカの食文化の影響を強く受けました。フライドチキンはその代表例で、沖縄県民は自宅でも鶏にスパイスと小麦粉をまぶして揚げるのが一般的で、コンビニで扱うには親和性が高かったのです。

沖縄ファミリーマート 代表取締役社長 糸数剛一氏(撮影:池原喜史)

 当時、ニチレイさんからタイ産の良質な鶏肉を提案されたことをきっかけに、「これを工場で加工して、店内で揚げる形にすれば商品になるな」と思いつきました。