沖縄ファミリーマート 代表取締役社長の糸数剛一氏(撮影:池原喜史)

 人口減少やリモートワークの定着、激安スーパーの台頭などによって本州では踊り場を迎えているコンビニ市場。ところが沖縄県では、2019年にセブン-イレブンが参入したこともありコンビニが急増。各社が出店を加速させ、今や人口当たりコンビニ数が全国3位と競争が激化している。コンビニ各社はなぜ沖縄に注目しているのか。県内の店舗数、平均売上高でトップを走る沖縄ファミリーマートの代表取締役社長、糸数剛一氏に話を聞いた。

小売業が「沖縄」に熱視線を送る理由

──沖縄県でのコンビニの競争が激化しています。なぜ各社は沖縄という市場に注目し出店しているのでしょうか。

糸数剛一氏(以下、敬称略) 全国的に少子高齢化が加速し、マーケットが縮小し続けている中、沖縄県という市場には他の地域にはない成長のポテンシャルがあるからでしょう。

 2019年に進出したセブン-イレブン以外にも、最近では首都圏の有力スーパー数社も沖縄県進出をほのめかすなど、競争はこれからも激化しそうです。

 沖縄県の最大のポテンシャルは「地理的優位性」にあります。その顕著な例として、観光が挙げられます。他の都道府県と比較したときに、アジアからの距離が圧倒的に近く、LCC(格安航空会社)でも主要都市とつながっています。

 コロナ前に沖縄を訪れていた主要な訪日観光客は中国人でしたが、現在は中国経済の低迷により、勢いが落ちています。一方で、他の地域、例えば台湾やベトナム、韓国といった国々からの訪日は増えています。さらに、近年はヨーロッパからの観光客も増加しており、今後もインバウンド需要は伸び続けていくでしょう。

沖縄ファミリーマート1号店(国場沖大前店)(提供:沖縄ファミリーマート)