
名前以外は何も継いでいない
これまで、ワークショップや発表会直後の情報などをリポートしてきたメルセデス・ベンツの新型CLAに、ようやく試乗することができました。このクルマは単なるいちモデルのフルモデルチェンジに留まらず、今後のメルセデスの戦略を示唆する上でも重要なプロダクトのひとつでもあります。

新型は“CLA”の名前以外、すべてを刷新しています。プラットフォーム、パワートレイン、さまざまなソフトウエアを動かすOSなどは新開発されたものばかりで、今回の試乗会ではワゴンのシューティングブレークも発表。今後はさらに2種類のSUVを追加する予定で、メルセデスのラインナップのボトムを担う車種群が完全に生まれ変わります。
試乗会ではワゴンのシューティングブレークもお披露目された。CLA シューティングブレークのBEVはメルセデスとして初めてのワゴンのBEV仕様でもある。写真のモデル(CLA250+)は最大761kmの航続距離を確保する
BEVとHEVをラインナップ
新型CLAの最大の特徴は、電気自動車(BEV)とハイブリッド(HEV)のふたつのパワートレインを持っている点にあると言えます。ボディサイズは従来型より全長/全幅/全高/ホイールベースのすべてが大きくなっていますが、特にホイールベースの拡大率がひときわ大きいのはBEVの駆動用バッテリーを搭載するためです。
ラゲッジスペースは455-1290Lの広さを有するものの、容量は従来型よりもわずかに減っているが、セダンと同様に、フロントにもトランクが配置されている
いっぽうで、ボディが大きくなっているにもかかわらず、後席はヘッドクリアランス以外のほとんどが従来型よりもむしろ狭くなりました。これは、居住空間の拡大よりもエアロダイナミクスを優先したスタイリングになっているからです。
BEV仕様ではトランク容量が減った分をフロントにもスペースを設けることで相殺している。101Lの容量を持つフロントトランクは、キャリーバッグくらいの荷物を収めることが可能だ
現行のメルセデスの中で、もっとも低いCd値は0.20のEQSで、新型CLAはそれに次ぐ0.21を達成しています。Cd値はBEVにとって航続距離を伸ばすための重要なファクターであり、パッケージよりも優先せざるを得なかったのでしょう。おかげで2種類のBEVの航続距離は、672-792kmを確保できたそうです。
全体的にひと周り大きくなった新型CLA。前席は広くなっているものの、後席やトランク容量は狭くなってしまった。ただし、ボディの空力性能はメルセデスの中でEQSに次ぐレベルを確保している
