
AMG GTのモデルチェンジ……には留まらない
メルセデスAMGは去る6月25日、本拠地のドイツ・アファルターバッハで“コンセプトAMG GT XX”のワールドプレミアを行いました。“コンセプト”と銘打っているので詳細なスペックは公開されていませんが、少なくともそのスタイリングはほぼそのまま、量産車にも反映される見通しです。


AMG GT XXはその名の通り、現行のAMG GTの後継車という位置付けですが、単なるフルモデルチェンジに留まらず、さまざまな意味や意義が込められたモデルでもあります。その象徴ともいうべき特徴は、プラットフォームを含めたほぼすべてが、AMGのオリジナルという点です。今後、メルセデスとAMGはさらなる差別化を図っていくそうで、このクルマはその先陣を切ることになりそうです。

AMGのBEV専用プラットフォーム
AMG GT XXには“AMG.EA”と呼ばれるプラットフォームが採用されています。これはAMGが開発したBEV専用のもので、メルセデスが将来的にこれを流用することはないようです。
モーターにはアキシャルフラックスモーターが採用されました。これは、メルセデスが完全子会社化したYASA社が製造するモーターで、これまでのモーターと比較すると、同等の出力で約3分の1のサイズと重量に収まるとてもコンパクトな設計になっています。

これをフロントにひとつ、リヤにふたつ置いた4WDで、最高出力は最大で1360psにも達するそうです。量産車にこのパワーはちょっと非現実的ですが、それくらいのポテンシャルを備えたモーターであることは確かです。リヤのふたつのモーターは、機械的に繋がっておらず、後輪左右をそれぞれ独立して制御するそうで、これには4つのモーターで4輪を個別制御する、GクラスのBEVであるG580 with EQ Technologyで培ったノウハウが投入されているかもしれません。なお、最高速は360km/hと公表されています。

バッテリーもAMGらしいハイパフォーマンス仕様
バッテリーの出力などはまだ未公開ですが、オイルを使ってセルを直接冷却する直冷式となっています。

BEVにおけるバッテリーでは温度管理がもっとも重要です。高温になってしまうと出力/トルクは低下するし、充電時には負荷がかかってスムーズなチャージができなくなってしまうからです。AMG GT XXのバッテリーはクルマの走行状況や気候に大きく左右されることなく、常に一定の温度を保つことが可能だそうで、例えばサーキットでの全開走行でもパワーが落ちることはなく、走行直後でもすぐに充電できるそうです。
また、最大850kWまでの充電器に対応可能で、もしそういう充電器があれば、400km走行分を約5分で充電できるとのこと。

今後、メルセデスは独自の充電ネットワークの構築を拡げていく計画があるので、850kWの充電器の登場も絵空事ではないかもしれません。