
この形状はCd値2.0を下回る!
ボディは4ドアクーペの形状で、フロントは横長のグリルがフロントの低い位置に、リヤでは丸形の左右3灯ずつのテールライトが特徴です。

このテールライトは、どこかのクルマにも似ているように見えますが、実はマフラーをモチーフにしています。BEVなのでリアルなマフラーは存在しませんが、ひとりの作業員が1機のエンジンを最初から最後まで責任を持って組み立てる“ワンマン・ワンエンジン”がセールスポイントにもなっているAMGとしては、エンジンを積まないBEVにも何らかの形でそのモチーフを残したかったのでしょう。

何よりこのスタイリングの注目すべき点はCd値です。Cd値とは空気抵抗係数で、数値が小さいほど空気抵抗が少ないことを意味しています。メルセデスはことのほかこのCd値へのこだわりが強く、現行のSクラスは0.22、今年発表された新型CLAは0.21、EQSは0.20を記録しています。そしてAMG GT XXは、ついに0.20を切って0.198に達しました。特にBEVにとっては、空気抵抗が少ないほうが航続距離が伸びる傾向にあり、メルセデスによるとCd値が0.01下がるとBEVの航続距離は約2.5%増えるそうです。

AMG GT XXでは、メルセデスとは異なるオリジナリティあるスタイリングであると同時に、比類なきCd値の達成もその要件にあったのです。
ちなみに、空力抵抗軽減にはホイールもひと役買っている。専用のホイールは、ブレーキの冷却が必要な場合には電動でホイールキャップが浮き上がり空気を送り込み、高速で巡航する時などは自動的に閉じてタイヤ周りの空気を整流します。


スタイリング以外にどこまでが量産車へ反映されるかどうかはよく分かりませんが、公道では到底試せないほどのパフォーマンスでは宝の持ち腐れになりかねません。ユーザーが日常でも楽しめるような動力性能や扱いやすさも備えたBEVの量産型スポーツカーとして、あらためてお目にかかりたいものです。
