BEV仕様の2モデルに試乗

 今回の試乗会に用意されていたのはBEVのみで、HEV仕様は年末までに発売される見通しとのこと。CLA 250+ with EQ technologyとCLA 350 4MATIC with EQ technologyの2モデルがBEVとしてラインナップされています。最初に試乗したのはCLA250でした。

 CLA250はリヤにモーターを置く2WDで、272ps/335Nmのパワースペックを有しています。車両重量は2.5トンを超えていますがパワー不足はまったく感じられません。むしろちょっと軽快と感じるくらいの十分な動力性能を持ち合わせています。出力/トルクの出し方はエンジンやHEVにあえて寄せているため、初めてBEVに乗る人でも違和感は少ないでしょう。

 操縦性は後輪駆動らしいものです。つまり、前輪は操舵のみ、後輪は駆動のみと役割分担が明確なので、これがスッキリとしたステアリングフィールとレスポンスのいい操舵応答性を実現しています。動力性能と同様にクルマの重さを意識させず、ステアリング操作に対してまったく遅れることなくクルマが向きを変えてくれる様はちょっと気持ちいいくらいで、交差点を曲がるような場面でも実感することができました。

 こうした操縦性を可能としている要因のひとつには、頑強なボディの存在があります。運転を開始した直後から異様なまでに剛性感の高いボディに感心していました。ボディ設計には衝突安全性が深く関わっていて、その担当エンジニアによるとBガラスルーフの採用が、結果として強靱なボディの構築に繋がったとのこと。

 新型CLAではヘッドクリアランスの確保のために、通常のルーフよりも薄いガラスルーフが標準装備されています。しかし、ガラスルーフは衝突時に割れて二次被害をもたらす可能性もあります。そこでAピラーからCピラーにかけての円弧状の部分とBピラーに熱間成形の超ハイテンスチールを採用。もしクルマがロールオーバー(=ひっくり変える)してもガラスルーフは簡単には割れないようになっているそうです。安全性に関しては相変わらず強いこだわりを持っている、メルセデスらしい開発裏話でした。

 CLA350は車名の通り、前輪にもモーターを配置した4WDの駆動形式を持っています。ただ、全般的な乗り味はCLA250と極めて似ていて、直進時や旋回時のスタビリティがやや高い程度の違いでした。これくらいの差であれば、航続距離の長いCLA250でも十分だと思います。

乗り心地と静粛性は、従来型よりも飛躍的に向上している。静粛性は特に風切り音の軽減が顕著で、高速巡航時でも室内の静粛性が保たれていた

 HEVの追加を待って、日本へはBEVとHEVの両方が来年初頭に導入される予定です。