ローソン 上級執行役員 事業サポート本部長の月生田和樹氏(撮影:冨田望)

 2024年に、将来目指すべきコンビニ像として「Real×Tech Convenience」のコンセプトを打ち出したローソン。三菱商事、KDDIと共に、リアル店舗とテクノロジーを融合した「未来のコンビニ」の実証実験に取り組んでいる。同時に社内においては、システム開発の基盤作りとして「全役職員のデジタル人財化」を目指す。ローソンは「未来のコンビニ」をどう構想し、どのような組織で実現しようとしているのか。同社のテック事業をリードする上級執行役員 事業サポート本部長の月生田和樹氏に話を聞いた。

コンビニを「人と触れ合う場所」の選択肢に

――ローソンでは「コンビニの未来の姿」として「Real×Tech Convenience」というコンセプトを打ち出しています。「Amazon GO」など無人店舗の動きも進む中、なぜ「リアル」にこだわったのでしょうか。

月生田和樹氏(以下、敬称略) 当社でも無人店舗の実証実験は行っていますが、それとは別にこのコンセプトを立てたのは、リアル店舗ならではの人を介した「温かみ」を大事にしたいという思いがあったからです。

 最近地域のコンビニでは、店員と地域に住む高齢者の方が会話を楽しむ様子をよく見かけるようになりました。単身世帯が増えたり、あるいは家族内でも孤立を深める方がいたりする中で、リアルで人と会い、話をするコミュニケーション体験が潜在的に求められていると感じます。

 その「人と触れ合える場所」の一つとして、「近所のローソンに行こう」と思っていただけたら嬉しく思います。会話を楽しむついでに買い物もしてもらえれば、ビジネスとしても成立します。

 お客さまにとって、日常生活に欠かせないコミュニケーションを取る場として認識されたい。その思いから「リアル」にこだわりました。