
明治製菓と明治乳業の経営統合によって2011年に誕生し、チョコレート、ヨーグルト、プロテインなどで国内シェアトップの明治。発足から14年を経た現在、同社は「多様性(ダイバーシティ)」と「挑戦・自律」をキーワードとする新たな人事戦略を掲げ、組織変革に取り組んでいる。「one meiji」のスローガンの下、結束を強めてきた明治が、なぜ今、多様性に取り組むのか。生まれ変わった組織は、どんな成長基盤になり得るのか。大手コンビニチェーンの出身で、2023年に同社の人財開発部部長に就任した山口恭子氏に話を聞いた。
「one meiji」の裏で進んでいた“同質化”
――明治では、経営戦略と結び付いた新たな人事戦略として「外部競争性の獲得・向上に向けた多様性(ダイバーシティ)の実現」を打ち出しています。なぜ今、改めて「ダイバーシティ」を重視するのでしょうか。
山口恭子氏(以下、敬称略) 確かに、「今さらダイバーシティ?」と思われる方もいるかもしれません。そこに至った経緯からお話しします。
当社は旧明治製菓と旧明治乳業が統合し、2011年に明治ホールディングス傘下の食品事業会社として生まれ変わりました。
当時は、規模の大きな2社が一つになったことを受け、「one meiji」をスローガンに組織文化の融合を図り、社内の結束力を高めることに注力しました。この取り組み自体には大きな成果があったのですが、半面、同質化の加速という“副作用”が生じました。
一例を挙げると、当社は社員の多くは新卒一括採用で入社したプロパー社員。私が入社した2022年時点で、キャリア採用の管理職社員は片手で数えられるほどしかいませんでした。
これは離職率の低さや、意思決定プロセスの簡素化というメリットもありますが、組織としてはバックグラウンドがほぼ一緒で、物事を内向きに考えがちな組織風土が根付いているとも言えます。私も外部から入社した一人として、その傾向を感じていました。