出所:共同通信イメージズ
「ローソンはいずれセブン-イレブンを超える」――そう語るのは、7年の長きにわたりローソンの取材と分析を続けてきた法政大学名誉教授の小川孔輔氏だ。コロナ期の業績低迷を乗り越え、2023年度には過去最高益を達成。V字回復はいかにして成し遂げられたのか。2025年4月に著書『ローソン』(PHP)を出版した小川氏に、同社の真の強みとされる「組織的な強さの中身」や、その強さを生み出す経営戦略・制度設計について聞いた。
ローソンが「セブン-イレブンを超える」と確信
──著書『ローソン』では、同社の業績が好調な要因と、大改革の舞台裏をひもといています。ローソンをテーマに選んだ背景には、どのような理由があったのでしょうか。
小川孔輔氏(以下敬称略) 最大の理由は、ローソンの社風に魅了されたことです。2015年当時、ローソン社長を務めていた玉塚元一氏を含む経営陣4人と初めてミーティングをした際、そのフランクで温かみのある企業文化に強く惹かれました。
そもそもの出発点となったのは、2015年4月に玉塚氏からいただいた1本の電話でした。玉塚氏とのご縁は偶然の産物で、法政大学経営大学院にファーストリテイリングの柳井正会長(当時)を1年間だけ客員教授として招いた際に、当時ユニクロの社長だった玉塚氏を紹介いただいたことが始まりです。
その電話では、私の著書『マクドナルド 失敗の本質』(東洋経済新報社)を読んで感動したので、ぜひ一度お話ししたい、とのことでした。明確な依頼があったわけではありませんが、学者としての私にローソンの経営を外部の視点から俯瞰し、分析してほしかったのだと思います。
その後、2年にわたりローソンの現場や人材、ビジネスの実態を見ていく中で、「ローソンはいずれ、セブン-イレブンを超える」と確信を持つようになりました。この考えは、本書の付録にも収録した『ローソンがセブン-イレブンを超える日』(『新潮45』2017年新春号掲載)でも詳しく述べています。
ローソンといえば、「プレミアムロールケーキ」に代表されるコンビニスイーツや、据え置き価格で重量や具材を増量する「盛りすぎチャレンジ」キャンペーンなど、食品分野での積極的な取り組みが印象的です。一方で、同社の組織的な特徴や内面的な強さは、あまり知られていません。
ローソンの真の強みは、常に挑戦を続ける姿勢と、それを支える社風にあると感じています。この魅力が広く伝わっていないのは非常にもったいない、と考えたことから、本書の執筆に至りました。







