インバウンド需要が旺盛な反面オーバーツーリズムなどの課題も抱える観光業界。業最大手のJTBグループが推進してきたDX戦略、顧客や観光業界を巻き込むプラットフォームの変革、その先にある未来のツーリズムの姿について、JTBでCSO・CDXOを務める藤井大輔氏に聞いた。

※本稿は、Japan Innovation Review Forums主催の「第24回 DXフォーラム」における「特別講演:JTBグループが取り組むDX~ツーリズム産業変革への挑戦と現在地~/藤井大輔氏」(2025年3月に配信)をもとに制作しています。

観光業の課題解決を目指すJTBグループのDX戦略とは

「交流創造事業」を掲げるJTBグループは、ツーリズムを基盤としながら、地域軸、企業軸でのソリューションビジネスの確立・拡大を図ってきた。

 その一方で、DX戦略として、顧客へのサービスの革新、観光業界全体を巻き込む変革に向けて取り組みを進めてきた。これをけん引してきた取締役常務執行役員CSOおよびCDXOの藤井大輔氏は、その必要性を次のように語る。

「ツーリズム産業は、さまざまな『つながり』で成り立っており、コロナ禍のような外部環境の変化に大きな影響を受けます。そこで私たちは今後の事業展開のために、デジタルを活用しながらお客様や観光業界全体を巻き込み、環境変化に俊敏に対応できる体制の構築を目指します」(藤井氏)

 社内の働き方の変革と共に、JTBグループが進めるDXは「顧客に対するサービスの変革」と「観光業界を巻き込んだ変革」だ。その中心に、観光事業者、地域、旅行者などさまざまなステークホルダーをつなぐ「プラットフォーム」がある。

 DXで交流創造事業を加速させながら、人手不足やオーバーツーリズムなど観光業界の課題を解決し、地域や旅の在り方を変えていく。そんなJTBグループが進める変革の全貌を語った、講演の骨子をお届けする。