暴力沙汰が絶えなかった?

 最後に、敦明にまつわる暴行の数々を取り上げたい。

 秋山竜次が演じる藤原実資の日記『小右記』長和3年(1014)6月16日によれば、父・三条天皇の在位中、当時21歳の敦明親王が、雑人に命じて、裕福な受領として知られる加賀守源政職を拘置し、ある舎屋に監禁して打擲したという。

 同年の12月には敦明親王の雑人と藤原定頼(町田啓太が演じる藤原公任の嫡男)の従者が闘乱し(『小右記』長和3年12月1日条)、敦明親王の雑人が死去してしまった(『小右記』長和3年12月5日条)。

 非は定頼にあったようだが、同年12月8日、敦明親王は定頼を打擲しようとしたという(『小右記』同日条)。

 また、治安3年(1023)4月17日には、敦明親王が率いる従者たちが、賀茂祭使の行列を見物する人々を相手に暴力を振るいまくり(繁田信一『殴り合う貴族たち』)、前長門守の高階業敏に暴行を加えたうえ、烏帽子を奪い、髷をかき乱している(『小右記』治安3年4月18日条)。

 だが、家族思いであり、長和4年(1015)11月に起きた内裏の火災の際には、母・娍子を抱きかかえて走ったという(『小右記』長和4年11月18日条)。

 今後、どんな姿を見せてくれるのか、楽しみである。