メカニズムは通常のLBXとは全然ちがう

 レクサスのコンパクトモデルであるLBXに新たなモデルが加わりました。その名も“レクサス LBX MORIZO RR”。“MORIZO”とは、トヨタ自動車の会長である豊田章男氏がレース参戦などプライベートで活動する際に名乗る通称で、“RR”は彼のレーシングチームである“ルーキーレーシング”の略でもあります。

 豊田章男会長はトヨタ社内で“マスタードライバー”という任務も担っていて、トヨタやレクサスのほぼすべてのモデルは、最終的に彼が試乗してGOサインが出ないと販売できないことになっています。このMORIZO RRは、マスタードライバーがGOサインを出したLBXに対して、豊田章男とは別人格のひとりのクルマ好きであるMORIZOが、あらためて自分好みに仕立てたモデルという位置づけだそうです。LBXは公道で快適に走れることを目標に開発されたクルマであるのに対して、MORIZO RRは公道のみならず、いざとなればサーキットでのドライブも楽しめるハイパフォーマンスモデルで、これこそがこのクルマの最大の特徴です。

 1.6リッターの直列3気筒ターボエンジンは、すでに発売されているGRヤリスと同型のユニットで、304ps/400NmのパワースペックもGRヤリスと同値です。ノーマルのLBXのシステム最高出力は136psですから、倍以上のパワーを発生することになります。

エンジンはGRヤリスと共有するものの、エンジン制御プログラムなどはあらたに書き換え、レクサスの乗り味にふさわしい動力性能とした。レクサス初となるMTの設定は、このクルマの大きなセールスポイントにもなるはず

 このパワーを余すことなく実際の動力性能として活用できるよう、MRIZO RRはノーマルのLBXをベースに大がかりな改良が施されました。例えば、駆動形式は“機械式”のフルタイム4WDです。LBXにも4WDの設定がありますが、“E-Four”と呼ばれる後輪をモーターで駆動する方式で、物理的に前輪と後輪は繋がっていません。いっぽうのMORIZO RRは、フロントに置かれたエンジン+トランスミッションからプロペラシャフトとディファレンシャルを介して後輪が駆動します。加えて、前後共にLSDを装備するため、304ps/400Nmのパワーを前後のみならず左右の駆動力配分までもコントロールすることで、状況に応じて常に最適なトラクションが4輪にかかるよう設計されています。

 このエンジンに組み合わされるトランスミッションは2種類あって、ひとつは8速AT、もうひとつがレクサス初となる6速MTです。ATはDレンジのままでスポーティな走行を試みても、スムーズかつ素早いシフトチェンジを披露し、もちろんパドルを使ったマニュアル操作も可能。ギヤ段をホールドすることでレブリミットまでのエンジンの吹き上がりを楽しめるほか、ダウンシフト時にはブリッピング制御も入るようになっています。

MTにはiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)と呼ばれる機構が備わっていて、ONにすれば変速時に自動的にエンジン回転数を合わせてくれます。MTのトランスミッションがどんどん姿を消していく中でレクサスがMTを用意するというのは、ユーザーの選択肢が広がる歓迎すべき英断と言えるでしょう。

MORIZO RRは8速ATだけでなく、レクサス初となる6速MTも用意。車両本体価格はどちらも650万円。シートベルトやステッチなど部分的にカスタマイズできる“ビスポーク・ビルド”は720万円