表現の幅、仕方が広がった「滑走屋」

2024年2月9日、アイスショー「滑走屋」公開リハーサルでの山本草太 写真=YUTAKA/アフロスポーツ

 昨シーズンは貴重な経験も重ねてきた。その一つは2月、アイスショー「滑走屋」に参加したことだ。

「動画は事前に送られては来ていたんですけど、四大陸があったのでなかなか観ることができず、四大陸が終わって映像を中国で観て帰りの飛行機も観たんですけど、リハ初日からしっかり練習している方にかなり遅れをとって入ったので大変でしたね。朝から夜までリハがあり、でも僕はまだまだ頭に入っていない状況だったので夜中も動画を観たり復習してあまり寝る時間もない日々でした。それでもその日々でスケートに対する思いとか、表現に対する思いというのは変わったと思います。

 滑走屋のテーマが自分のスケートのタイプとがらっとイメージが変わり、自分の中でも課題としているナンバーや動き、音のとり方がたくさんあったので、そのときは苦手に感じながらも座長の高橋大輔さんを含め、ほんとうにいろいろな表現を吸収することができました。表現の幅、表現の仕方が滑走屋のおかげで変わったなと思います。

(4月末に出演した)『プリンスアイスワールド』でも、『滑走屋からすごく表現の仕方が変わった』『新しいショートプログラムの振り付けも含めて変わった』と言ってくださる方が多くてうれしいです。試合で変わったって思っていただけるようなスケートにしていけたらと思います」

 そのショートプログラムは4月中旬、アメリカで振付師のブノワ・リショーに振り付けてもらった。

「去年デイビッド・ウィルソンさんにお願いしたショートプログラムは日本で振り付けしていただいたので、5年ほど前に初めて海外の方に振り付けをしていただいて以来の海外です。自分のレベルアップのために海外で振り付けをしたいという強い思いがありました。

 海外で振り付けをするには金銭的な問題をはじめいろいろな条件があるので日本での振り付けが多かったんですけれど、いろいろな方のサポートのおかげで実現しました。周りの方々にまず感謝したいですし、サポートいただいた分、1分1秒、自分の成長につなげようという強い思いがありました。日本だと3、4日間で振り付けを行うんですけど1週間と時間をしっかりとれて、3日間ぐらいで完成して残り半分は1つずつブラッシュアップする形で丁寧に作り上げられたと思いますし、この素晴らしい作品を今シーズン通して自分のものにできたら、と思っています」