乗り心地は極上
実際に試乗すると、彼らの主張どおり、乗り心地が快適なことにまず驚かされるはず。600psオーバーのスポーツタイプSUVはすでに複数のラグジュアリーカーブランドからリリースされているものの、快適性だけでいえばレンジローバースポーツSVがいちばんだろう。その足回りの自然なストローク感は、スタンダードなレンジローバースポーツと比べても遜色がないと思えるほどだった。
しかも、コーナリング時にローリングやピッチングを抑え込む働きは、レンジローバースポーツの通常モデルを格段に上回る。それも、足回りが妙に突っ張っている印象を与えることなく、自然とフラットな姿勢を保っているように感じられる点がとりわけ印象的だった。
635psを生み出すエンジンが実にパワフルなことも印象的だった。しかも、レスポンスが鋭いうえに柔軟性にも優れているので、欲しいパワーがいつでもすぐ手に入る。そのいっぽうで、エンジン音はフル加速時でもしっかりと抑制されていて、耳をつんざくようなノイズをまき散らすこともない。この点は、「品の良さ」が売り物のレンジローバースポーツにぴったりの設定と感じた。
クリーンなデザイン
品がいいといえば、内外装の作りが上質で、モダンかつシンプルなデザインに仕上げられている点もレンジローバースポーツの魅力のひとつ。これはSVも同様で、派手なエアロパーツなどを装着することなく、レンジローバースポーツ本来の美しさが引き継がれていて嬉しい。
つまり、スポーティなラグジュアリーSUVとして第一級のパフォーマンスを実現しているにもかかわらず、そのことをおくびにも出さない品のよさがレンジローバーSVの真骨頂といえる。
レンジローバースポーツSVで唯一、残念なのは、生産台数が2500台に限られていて、そのうちの日本割り当て分がすでに完売となっていること。ただし、これは2024年モデルに関する話であって、2025年以降に再導入される可能性は低くない模様。したがって「パフォーマンスは高くても品がいいラグジュアリーSUVが欲しい」という向きは、是非とも今後の発表に注目していただきたいところだ。
全長×全幅×全高:4,970×2,209×1,814mm
ホイールベース:2,998mm
車両重量(DIN):2,485kg
エンジン:4,395cc V型8気筒エンジン(ボア89mm/ストローク88.3mm)
最高出力:635PS(467kW) / 6,000-7,000rpm
最大トルク:750Nm / 1,800-5,855rpm
トランスミッション:8段オートマチック
0-100km/h加速:3.8秒
最高速度:290km/h
燃費(WLTP combined):11.7-12.5 l/100km
価格:2474万円から