事業会社によるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)をけん引し、変革をリードするキーパーソンには、どのようなマインドやスキルセットが求められるのだろうか。日本の代表的ベンチャーキャピタルJAFCOが主催するCVC関連イベントのパネルディスカッションに、三菱電機の峯藤健司氏、ユーザベースの酒井駿氏、志賀康平氏が登壇。CVCの目的、各フェーズの活動やそのキャリアパスにも切り込みながら、CVCに挑むべき人材の横顔を明らかにする。
三菱電機が変革を目指して臨む「MEイノベーションファンド」
CVCのキーパーソンとは、どのような人物であるべきか。その議論の前に、三菱電機とユーザベースの取り組みを紹介する。
三菱電機が2022年に立ち上げた「MEイノベーションファンド」は、「Pride of Advanced Technology」を掲げ、技術を軸に世界に変革を起こすことを目指して、事業創造に取り組む。運用総額50億円という規模で、ベンチャーキャピタル(VC)のグローバル・ブレインとの二人組合というかたちで運用している。
「当社ではCVCを、革新的なアイデアを探索する手段と位置付けています。財務リターンよりも戦略リターンを重視し、新規事業のための業務提携を1つのゴールとしています」と語るのは、ビジネスイノベーション本部の峯藤健司氏だ。
一方、ユーザベースは、ファイナンスや成長推移などスタートアップの情報を可視化するプラットフォーム「INITIAL」を提供している。対象のスタートアップは国内2万2000社、海外250万社に上る。また、500社以上のユーザーの7割近くを事業会社・CVCが占める。
INITIAL Customer Success Team Leaderの酒井駿氏は、「スタートアップにとって、横のつながりを増やしていくことは非常に重要です。ユーザーコミュニティーとして『INITIAL Circle』を提供するなど、スタートアップを中心とした活動を支援しています」と語った。
本セッションでは、事業会社で変革に挑む峯藤氏と、さまざまなスタートアップと対話を重ねてきた酒井氏が、CVCに求められる人材像について議論する。モデレータは、ユーザベースSaaS Marketing Domain Event Marketing Team Leader(SPEEDA・INITIAL担当)の志賀康平氏が務める。