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 事業会社によるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)をけん引し、変革をリードするキーパーソンには、どのようなマインドやスキルセットが求められるのだろうか。日本の代表的ベンチャーキャピタルJAFCOが主催するCVC関連イベントのパネルディスカッションに、三菱電機の峯藤健司氏、ユーザベースの酒井駿氏、志賀康平氏が登壇。CVCの目的、各フェーズの活動やそのキャリアパスにも切り込みながら、CVCに挑むべき人材の横顔を明らかにする。

三菱電機が変革を目指して臨む「MEイノベーションファンド」

 CVCのキーパーソンとは、どのような人物であるべきか。その議論の前に、三菱電機とユーザベースの取り組みを紹介する。

峯藤 健司/三菱電機 ビジネスイノベーション本部

新卒で三菱電機に入社し、開発本部情報技術総合研究所にて光通信技術の研究開発に従事。その後、同所開発戦略部企画グループにて研究開発の戦略策定、資源配分と実行支援を担当。2017年より同本部デザイン研究所 未来イノベーションセンターにて新規事業の開発と既存事業の強化に従事。2021年4月より、ビジネスイノベーション本部にて「MEイノベーションファンド」の立ち上げを主導。

 三菱電機が2022年に立ち上げた「MEイノベーションファンド」は、「Pride of Advanced Technology」を掲げ、技術を軸に世界に変革を起こすことを目指して、事業創造に取り組む。運用総額50億円という規模で、ベンチャーキャピタル(VC)のグローバル・ブレインとの二人組合というかたちで運用している。

「当社ではCVCを、革新的なアイデアを探索する手段と位置付けています。財務リターンよりも戦略リターンを重視し、新規事業のための業務提携を1つのゴールとしています」と語るのは、ビジネスイノベーション本部の峯藤健司氏だ。

酒井 駿/ユーザベース INITIAL Customer Success Team Leader

ドン・キホーテ(現PPIH)にて3年間現場を経験後、戦略系部署に異動し5年間でM&Aを複数件担当。その後オリエンタルランドで新規事業開発、CVC設立等を推進し、スタートアップ投資、協業、LP出資等に従事。2022年よりINITIALのCustomer Successに参画。

 

 一方、ユーザベースは、ファイナンスや成長推移などスタートアップの情報を可視化するプラットフォーム「INITIAL」を提供している。対象のスタートアップは国内2万2000社、海外250万社に上る。また、500社以上のユーザーの7割近くを事業会社・CVCが占める。

 INITIAL Customer Success Team Leaderの酒井駿氏は、「スタートアップにとって、横のつながりを増やしていくことは非常に重要です。ユーザーコミュニティーとして『INITIAL Circle』を提供するなど、スタートアップを中心とした活動を支援しています」と語った。

 本セッションでは、事業会社で変革に挑む峯藤氏と、さまざまなスタートアップと対話を重ねてきた酒井氏が、CVCに求められる人材像について議論する。モデレータは、ユーザベースSaaS Marketing Domain Event Marketing Team Leader(SPEEDA・INITIAL担当)の志賀康平氏が務める。