目的が明確ではない、サプライヤー評価

 調達部門のミッションを明確に定義している企業は多くないが、調達の役割とは「必要とされるものを必要な量・タイミング・価格で獲得すること」である。そしてさらには、自社の競争力強化に貢献をすることである。製造部門が日々現場の改善を重ねているのと同様に、調達も調達する対象の競争力を高めるための取り組みが必要である。

 調達には、当然のことながら調達対象の物品やサービスを納めてくれるサプライヤーがおり、そのサプライヤーのパフォーマンスや改善努力によって、取引の結果であるQCDといった調達実績は左右される。

 サプライヤー評価とは、サプライヤーの調達実態を測るための指標であり、調達品競争力を高める施策検討のベースとなるものである。調達リスクマネジメントの取り組みやサプライヤー戦略の検討においても、サプライヤー評価結果が現状分析の一要素として活用される。では、このようなサプライヤー評価の目的が明確にされているだろうか?

 近年は、調達部門としてISO認証を取得しているケースも多く、ISOでサプライヤー評価をすることになっている。しかし、サプライヤー評価の目的は不明確なまま、単に年中行事として評価を実施しているということも少なくない。また、評価結果をリスクマネジメントやサプライヤー戦略に活かすとの視点が欠けているために、サプライヤー間で差がつかない評価となっていたりする。

 サプライヤー評価を実施する場合、その活用方法を踏まえて評価内容を決めることが重要である。サプライヤー評価の目的については、次回取りあげる。本コラムでは、サプライヤー評価の目的が明らかである前提で、サプライヤー間で差をつけるためのポイントを解説する。