アンディ・ウォーホルも登場。モノクロ写真をチェック
展覧会では、まずソール・ライターが写真に取り組み始めた1950~60年代頃のモノクロスナップ写真群を紹介。黒と白で織り成される詩情豊かなモノクロ表現には、色彩がないからこそ伝わってくる“はかない美しさ”がある。日本の“わびさび”の精神に通じているともいえよう。
モノクロスナップには、偉大な芸術家をモデルにしたポートレートも多い。例を挙げると、アンディ・ウォーホル(美術家)、ロバート・ラウシェンバーグ(美術家)、ダイアン・アーバス(写真家)、ユージン・スミス(写真家)、セロニアス・モンク(ジャズピアニスト)、マース・カニングハム(振付家)、ジョン・ケージ(音楽家)。
今でこそ世界的に名を残す芸術界の巨匠だが、当時は野心あふれる若手。彼らはヨーロッパにかわって芸術の中心地になったアメリカに集い、夢をかなえようと日々創作活動に励んでいた。そんな仲間たちを、ソール・ライターはいわば写真の練習台として撮影したという。
中でもアンディ・ウォーホルの一枚が微笑ましい。若き日のウォーホルとともに、お母さんが映っている。彼女のナイーブな表情は、息子の将来を心配してのものなのだろうか。