物流業界は、労働力不足や2024年問題、脱炭素対応などさまざまな課題に直面しており、これまでと同じ組織運営をしていては経営が立ち行かなくなる恐れさえある。他の業界と比較してデジタル化が遅れがちな物流業界だが、テクノロジーを活用した業務改善やコスト削減は急務だ。2022年、上場会社であった日立物流として「DX銘柄2022」にも選定されたロジスティード(旧 日立物流。2023年4月1日に社名変更)で、専務執行役員 営業統括本部長を務める佐藤 清輝氏が、同社の3つのDXソリューションと機能の詳細、その成果について語った。

※本コンテンツは、2022年12月7日に開催されたJBpress/JDIR主催「第2回 物流イノベーションフォーラム」の特別講演4「DXによるサステナブルな物流の未来をめざして」の内容を採録したものです。

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物流の大転換期に向け、あらゆる課題に対応できるDX基盤を構築

 現在、日本の物流業界を取り巻く環境は厳しい状況にあり、加えて非常に速いスピードで変化し続けている。中でも近い将来、特に大きな影響が予想されるのが「働き方改革関連法」の成立だ。2023年に時間外割増賃金率の引き上げ、2024年に自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制が施行されれば、経費の増加や輸送力の減少に苦しむ物流業界にとって、より厳しい経営環境に陥ることは避けられないだろう。

 さらに課題として、インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正への対応がある。物流業界は今でも紙やFAX、電話といったアナログツールが主流だが、この課題への対応を怠るとコンプライアンスや業績への影響も起こりかねない。こうした大きな環境の変化に対し、佐藤氏は次のように危機感を募らせる。

「国内のトラック輸送業界の輸送力は、その大半が中小の輸送事業者によって成り立っています。あらゆる業界課題に対し、中小輸送事業者を含めた業界全体で取り組まなければ、問題の解決は難しいでしょう。それには、業界全体でのDX推進が不可欠です。そこで当社では、DXを駆使して課題を可視化できる環境をつくり上げることに、ここ数年全力を注いできました」

 こうして築かれたのが、輸送DX・倉庫DX・サプライチェーンDXという3つのDXに支えられた、独自のデジタル事業基盤だ。この充実したDX基盤により、顧客の基幹システムとのシームレスな連携が容易に行え、ビジネスプロセスを横串で一元管理できるようになった。これが顧客のサプライチェーンマネジメントの意思決定支援や、データドリブンな経営環境の実現に貢献していると佐藤氏は語る。