美術館に泊まっているような宿
かつて温泉寺の本堂があった山の高台にある「べにや無何有(むかゆう)」。創業は1928(昭和3)年で、「無何有」の名は中国古代の思想家・荘子が好んだ言葉「無何有(何[いず]くにも有ること無し=どこにもあることのない)の里」に由来しています。自然のままで、何の作為もない理想郷のことです。
その名の通り、独創的な設計で知られる建築家・竹山聖さんによる自然の山庭を囲むように建つ別荘のような宿です。客室はわずか16室で、すべての部屋に、山庭に面した温泉露天風呂があり、ラグジュアリーな空間が広がっています。
館内にはある3つのライブラリーは洗練された空間で、何の作為もない自分と向き合う時間を過ごすことができます。
そのなかの「Library ZERO」には、日本を代表する現代アーティスト宮島達男氏と、宿の設計者である竹山聖氏による「ゼロの転位」という現代アート作品が展示されています。
1995年〈「トポスの復権」/美術家と建築家のコラボレーション〉展のために製作され、東京、大阪、富山と各地を巡回した後、1996年に「ゼロの転位」と命名されて、庭園内に設置されていましたものを修復し、館内4階に設置。併設のライブラリーにはZEROをテーマにした書籍が揃っています。