初のグランプリファイナルで2位
そして復帰した2017年9月から5シーズンを数える今シーズン。序盤から好スタートを切る。
山本にとってグランプリシリーズ初戦となったフランス大会で2位、グランプリシリーズ大会で初めて表彰台に登ると、NHK杯でも2位となって初めてグランプリファイナル進出を決める。
グランプリファイナルでも好調はかわらない。ショートプログラムで2位につけるとフリーでは自己ベストを更新する179・49点、合計でも274・35点と自己ベスト、2位になったのだ。
全日本選手権こそ失敗が相次ぎ5位に終わったが、シーズンを通じての成績には選考基準に照らし合わせてもやはり特筆すべきものがあり、世界選手権代表に選ばれた。
「今シーズン、すごく成長した実感を得ているんですけれども、今回(全日本選手権)はよい演技ができなかったので、悔いがないように練習して、次の世界選手権でも思い切っていけたらなと思います。またさらに強くなった自分を見せられるように頑張っていきたいです」
全日本選手権翌日に開催されたエキシビション「メダリストオンアイス」で演じたのは『ポエタ』。この日に限らず今シーズンのエキシビションで披露してきた。
『ポエタ』は2015-2016シーズンのショートプログラムだった。怪我をして長期欠場となる前シーズンだ。
あれから7年、『ポエタ』を選んだことに山本の思いが込められているようであり、当時と同じ衣装を着用し滑る姿は、その7年という時間を思い起こさせる。
同時に、若々しくもあったあのときから、スケーターとして進化したたしかな姿をも思わせる。
23歳で迎える初めての大舞台はこれまでの喜怒哀楽を含む時間の末に迎える場所だ。
いくつもの思いを潜り抜けてたどり着いた氷上で、さらなる先へとつながる演技を——そう誓う。