鴻海は22年10月下旬に工場で混乱が生じた際、iPhoneの生産台数について「最大30%減少する可能性がある」としていたが、今回の騒動を受け見通しを「30%以上減少する可能性がある」に変更した。

 英インタラクティブ・インベスターの投資責任者、ビクトリア・スコラー氏は「鄭州工場の騒動は、11月のiPhone出荷の重しになるかも知れない」と指摘。年末の繁忙期におけるアップルの供給能力に対する懸念が高まったという。

 米家電量販大手ベストバイは22年11月22日、年末商戦の店頭では、iPhone 14の上位モデルが品薄になるとの見通しを示した(ロイターの報道)。これに先立つ22年11月初旬にアップルは異例の声明を出し、「鄭州の主要な組立施設は生産能力を大幅に縮小して操業しており、顧客の手元に届くまでの待ち時間が長くなることが予想される」と説明していた

「14 Pro」はすでに品薄、11月末までのフル稼働再開は不可能

 ロイターは、22年11月25日の「ブラックフライデー」にアップルの米国直営店を訪れた多くの顧客は上位モデル「iPhone 14 Pro」を購入できなかったとも報じている

 米証券会社ウェドブッシュは、多くのアップル直営店ではProモデルの在庫が例年に比べて25~30%少ないと指摘している。

 ロイターによると、10月下旬の騒動の後、工場は11月末までにフル稼働を再開する目標を立てた。だが、関係者は今回の騒動を受け「この目標は、もはや不可能」との見方を示している。

 台湾KGI証券のクリスティン・ワン氏によれば、今回の問題が22年12月まで続いた場合、iPhoneの生産台数は約1000万台減少することになる。これは、書き入れ時である22年10~12月期のiPhone出荷台数が12%減少することを意味するという。