ファッション界の重鎮が身に着ける4つの必需品
【1】ボルサリーノのフェルトハット
「イタリアはミラノの名所、ガレリアアーケードの入り口付近にボルサリーノのショップがありまして。現地だと7月、12月がバーゲン時期なので、そこを狙って(笑)。傷んだら買い替えを繰り返し、1985年の駐在時代から愛用しています。私は定番モデル一辺倒で、これはもう4年ほど愛用。夏は白のパナマ帽にチェンジしますが、どの型もフォルムと品質の両方で世界最高峰だと思います。多くのタイミングで好きだと公言していますから、プレゼントで頂くこともありました」
【2】エンポリオ・アルマーニのクルーネックニット
「毎年買い直している、ピュアバージンウール製のハイゲージニットです。1年着ると流石に首まわりがボロボロになっちゃうのでね。価格はおよそ250ユーロ。日本でも展開しています。デイリーからゴルフ、ビジネスまで、本当にどんなシーンでも対応できるから便利ですよ。インナーもワイシャツにポロシャツ、ハイネックといろんな組み合わせが楽しめて。ほとんどモデルチェンジしない定番ですから、安心して付き合い続けられます。逆に廃盤になったら個人的にかなり厳しい(笑)。
カラーはもう20年近く浮気せず、ネイビーだけをひたすらヘビーローテーション。ちなみに、アルマーニ本人のワードローブもネイビーばかりですよ。クローゼットを見せてもらったことがありますが、20mくらいの範囲にシャツ、スーツ、コートが並び、濃淡こそありますがすべて紺。それだけ決まりやすい色といえますね」
【3】ブルガリのリストウォッチ
「娘がブルガリで働いていた2003年ごろ、『工場にもう2〜3本しか残っていないよ!』と勧められて購入しました。リーズナブルな腕時計は他にも持っていましたが、俗にいう高級時計というのはこれだけです。ケースがイエローゴールドなので傷だらけですし、買取りに出しても金の重さ分にしかならないそうですが、愛着は一番あるアイテムです。廃盤ですから二度と手に入りませんし、ベルトだけ交換しながら大切に使っていこうと思います」
【4】ジョルジオ・アルマーニのアイウェア
「1995年ごろに手に入れたモデルで、アルマーニのライセンスを持つルックスオティカ製。さまざまな名ブランドのフレームを手掛ける、アイウェアライセンスビジネスにおけるパイオニア的メーカーです。アルマーニと喧嘩別れしたシーズンもありますが、復縁して相変わらず多くの傑作を生み出しています。
私はコンタクトレンズと相性が悪く、無理に着け続けると失明すると医者にいわれ、メガネが必要ならやっぱりアルマーニにしたいと思い購入しました。もう30年ほどの付き合いですから、飽きて他のモデルをかけていた時期もしばしば。とはいえ、しっかり保管しているのでヒンジを修理しレンズも替えれば、すぐ現役復帰できる状態に」(続く)
酒井壽夫(さかいとしお)
1950年生まれ。伊藤忠商事株式会社在籍時にジョルジオ・アルマーニやチェルッティといった、錚々たるイタリアンブランドを日本に紹介した。ジョルジオ・アルマーニ ジャパン株式会社の取締役副社長を務めたのち、2002年に株式会社コンドットーレを設立。さまざまなブランドの経営、セールス&マーケッティングなどのコンサルティング、事業を行なっている。また、株式会社グッチ グループ ジャパンのイヴ・サンローラン ディビジョンC.E.O、株式会社バリー・ジャパン 代表取締役社長も経験。文化服装学院、立教大学、和光大学等大学の教員・講師として教鞭を振るうことも。