インフレと出社再開でPC需要低迷

 ロイターは、約40年ぶりの高いインフレ率と、出社・学校の再開によって、人々はパンデミック時に比べてパソコンへの支出を減らしていると報じている。中国の「ゼロコロナ」政策と、ロシア軍のウクライナ侵攻が需要減とサプライチェーン(供給網)混乱をもたらし、半導体メーカーの収益を圧迫したという。

 米調査会社のIDCが22年10月10日に公表したパソコン市場リポートによると、22年7~9月の世界出荷台数は、前年同期比15%減の7425万2000台だった。

 メーカー別出荷台数の上位3社は、首位から中国・レノボ・グループ、米HP、米デル・テクノロジーズの順。3社の出荷台数は前年同期からそれぞれ、16.1%、27.8%、21.2%減少した。3社はいずれもノートパソコンやデスクトップパソコンにインテル製半導体を採用している。世界のパソコン出荷台数は21年までの2年間プラス成長していたが22年に入るとマイナスに転じ、この7~9月で3四半期連続の前年割れとなった。

200億ドル投じ米国内に新工場 受託生産も

 一方で、米ウォール・ストリート・ジャーナルは10月11日、インテルが半導体設計と半導体製造工場の意思決定の分離を一段と進める計画だと報じた。ゲルシンガーCEOが同日、スタッフ宛の書簡で新組織構造について明らかにしたという。それによれば、今後はインテルの工場ネットワークを半導体受託生産業者のオペレーションのように機能させる。インテル社内の技術者と外部の半導体メーカーを公平に扱い、工場は中立的立場で双方から注文を受けるという。

 インテルは従来、半導体の設計・開発から生産までを一貫して手がけてきた。しかしゲルシンガーCEOは21年3月、外部企業から製造受託するファウンドリー事業を始めると表明。22年1月には、ファウンドリー事業も兼ねる新工場を米中西部オハイオ州に建設すると発表した。同社は新工場に200億ドル(約2兆9200億円)を投じる。すでに取得した敷地面積は約1000エーカー(約4平方キロメートル)。25年の操業開始を目指している。