グーグルや華為も対応

 アップルのほかにも、米グーグルや中国・華為技術(ファーウェイ)などが、人工衛星とスマホの直接通信を可能にするために新技術の導入を急いでいると同紙は報じている。衛星経由の音声通話など、より複雑な通信が消費者向け機器で実現するのはまだ何年も先と予想されるが、衛星通信への投資はテクノロジー企業にとって注目分野になっているという。

 華為は先ごろ、新型スマホ「Mate 50」で、緊急時のショートメッセージ送信が可能になると明らかにした。米国の全地球測位システム(GPS)の中国版とも言われる「北斗衛星導航系統」を利用する。2022年9月初めには、グーグルのシニアバイスプレジデント、ヒロシ・ロックハイマー氏がツイッターへの投稿で、モバイル基本ソフト(OS)「Android」の次期バージョンで衛星通信に対応すると明らかにした。

 また、衛星通信事業者の米イリジウム・コミュニケーションズは22年7月、相手先企業名の公表は避けたものの、スマホ向けサービスの技術開発で合意したと明らかにした。

スペースXやアマゾンも通信事業者と提携

 他の衛星通信会社も、携帯電話事業者との取引を進めている。イーロン・マスク氏が率いる宇宙事業会社、米スペースXは22年8月、米大手事業者TモバイルUSと提携した。スペースXの通信衛星ネットワーク「スターリンク」を利用する。これによりTモバイルUSの加入者は衛星経由でメッセージアプリを利用できるようになる。両社は23年に試験サービスを始めたい考えだ。

 米国の衛星スタートアップ企業、AST & Scienceも衛星とスマホの直接通信に取り組んでいる。楽天モバイルや英ボーダフォン・グループなどと提携し、「スペースモバイル」という計画を進めている。

 一方で、他の米通信事業者は、異なる種類の提携を進めている。米AT&Tは英衛星通信大手のワンウェブが運営する衛星と、遠隔地にある携帯電話基地局を接続する計画。米ベライゾン・コミュニケーションズは、独自の通信衛星ネットワーク計画を進める米アマゾン・ドット・コムと同様の契約を締結した。