文=山口 謠司 取材協力=春燈社(小西眞由美)
「秘密にしてね」は「言ってもいいよ」と考える
本当に秘密にしたいことは、誰にも言ってはいけません。イソップ寓話の『王様の耳はロバの耳』のように、秘密を一度口にしてしまうと思わぬところから広まってしまいます。
「ここだけの話なんだけど」や「あなたにしか話さないから内緒にしてね」などと、いくら言っても危険です。聞いたほうは余計に人に話したくなります。本のタイトルや内容にも「ここだけの話」という言葉が使われているくらいですから、いくら口約束をしても信用してはいけません。
「ここだけの話」は「もうここだけの話じゃない」ですし、「秘密にしてね」=「誰かに言ってもいいよ」くらいに考えてください。そのうえで打ち明けるかどうか、決めたほうがよいでしょう。
また、「ここだけの話」や「内緒だけど」「秘密なんだけど」という前振りの表現は、親しい人ならかまわないかもしれませんが、陰口などマイナスのイメージがあるので、あまりいい印象を持たれません。言った人の品性が疑われかねないので、避けたい表現です。
そもそもほかの人に言わないでほしいという前振りも失礼なのです。「自分は信用されていないんだな」ととられ、気を悪くしてしまうのではないでしょうか?
ましてや「内緒にしてくれないと困るんだけど」「絶対にほかの人に言わないで」などと強制するような言い方はダメ。
そんなことを言わなくても、この人だったら自分だけの胸に留めてくれるという、厚い信頼関係がある人に打ち明けましょう。
秘密の話を聞き出そうとされたら?
逆にあなただけに話してくれたことを、ほかの人に聞かれた時はどうしたらいいでしょう。
友達同士なら、「私からは言えないから、本人に聞いて」などと答えればいいかもしれません。しかし、上司や取引先など、無下にできない相手の場合はちょっと難儀です。
「わかりません」「知りません」ではあまりにそっけなく、愛想がない人だと受け取られる危険もあります。目上の人への敬意にもかける印象を与えるので、言葉選びに気をつけて断るようにします。