相手が嫌な気持ちにならない断り方

●「秘密」を「内聞」に言い換える

「ほかの人に言ってほしくないことは誰にも話さない」が原則ですが、ビジネス上、新製品の企画や開発など、口外されてしまうと会社に大きな損害を与えることもあります。

 そんなときは「秘密」や「内緒」ではなく、「内聞」という言葉を使ってみましょう。「内聞」は「内分」とも書き、「内々に聞く」「非公式に身分の高い人の耳に入る」という意味と、「表沙汰にしない」「秘密」という意味があります。

「この件はまだ発表前ですので、どうぞご内聞に」

「内聞」の代わりに「内密」を使ってもいいでしょう。

「先にお伝えしますが非公式の情報なので、くれぐれもご内密に願います」

「内聞」や「内密」、それに加えて「非公式の情報」「未公開情報」などの少し堅苦しい言葉は、言われた相手に情報が漏れたら大変なことになるな、という印象を与えるのではないでしょうか? あえてこういった表現を使うと効果があるのです。

 また「表沙汰にしないでください」という言い方も同じ意味ですが、事件や不祥事などを公にしないでほしい、公になるのを避けたい、という意味合いが強い表現です。

 よく映画やドラマなどで強面の人が「表沙汰にされたくなかったら〜」とか、「表沙汰にしたらタダじゃ済まないからな」などいう言い方をしているのを耳にします。言い方によっては相手を威嚇する強い言葉なので、使わないようにしましょう。

 

「知りません」を「存じ上げません」に言い換える

 秘密の話を聞かれた時は、「知りません」ではなく、「存じ上げません」と答えることで、礼儀正しい印象になります。

「存じます」というのは「思います」「知っています」の謙譲語なので、普段の受け答えでも積極的に使ってみましょう。「その件でしたら良く存じ上げております」「私は存じませんが、ただいま詳しい者に確認してまいります」といったように使うと、丁寧さと品の良さを感じさせます。

 ただし、答えられないということを伝える場合、「存じ上げません」は否定形なので、ちょっと冷たい感じがします。「申し訳ありませんが、わかりかねます」もしくは「私の一存ではお答えしかねます」というように、肯定形の表現を選ぶとよいでしょう。