アマゾンは、プライムデーの販売額を公表していない 。ただ、同社が22年7月14日に出した声明によると、今年は期間中の2日間にこれまでで最も多い3億点以上の商品が売れ、アマゾン史上最大のプライムデーとなった。全世界のプライム会員は2億人を突破し、会員はセールを通して計17億ドル(約2300億円)以上を節約できたとしている。

 米国では、ディスカウントストア大手のターゲットや家電量販大手ベストバイなどが、プライムデーに合わせてそれぞれのセールを開催した。米アドビによると、22年7月12~13日の2日間、米国のオンライン販売総額は119億ドル(約1兆6400億円)となり、過去最高を更新。前年のイベント時と比較し8.5%増加した。

米国人9割が食品価格の高騰懸念

 こうした調査結果を見ると、インフレはJPモルガンが懸念していたような悪影響を及ぼしていない。だが、金額以外のデータを見ると、明らかに変化が生じていると専門家は指摘する。

 出品者向けEC広告管理サービスを手がける米パクビューの共同創業者であるメリッサ・バーディック氏は、「消費者はぜいたく品ではなく、実用的な商品を購入している。アマゾンブランドのゴミ袋やカスケードブランドの食器用洗剤などの生活必需品だ」と述べている。

 米市場調査会社のハリス・ポールによると、食料品の値上げが多くの米国消費者にとって最大の懸念事項になっている。米国人の9割が食品価格の高騰を心配しているという。

 また、プライムデーの消費動向を分析している米調査会社のニューメレーターによると、期間中のアマゾンでの平均注文金額は52.26ドル(約7220円)で、21年6月に開催したプライムデーの44.75ドル(約6180円)から16.8%上昇した(ウォール・ストリート・ジャーナルの記事)。

 消費者は高額商品を避け、より低価格の商品を購入したという。プライムデーで売れた商品のうち約58%が20ドル(約2760円)未満だった。100ドル(約1万3800円)以上の商品はわずか5%だったという。ニューメレーターのアンケート調査によると、プライムデー利用者の約34%が、「割引価格で購入するためにプライムデーを待った」と回答。また28%が「必需品でないため、セール品の購入を見送った」と答えた。

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