流通業界でデジタル分野の「協業」が広がり始めた。原材料高や人手不足など経営環境が厳しくなる中、業種や業態、さらに業界を超えて手を携えることでサプライチェーンの効率化が急務になっているからだ。
小売業者、EC事業者がワンストップで正確な商品情報を入手できる
食品や化粧品・日用品など業界を横断する商品情報のデータベース構築が動き出した。小売業態の垣根が低くなる中、業界別に商品データベースが存在している使い勝手の悪さを解消するのが狙い。また、商品取引のネット化の拡大とともに、正確な商品情報の重要性が高まっており、小売業やEC(電子商取引)事業者がワンストップで正確な商品情報を入手できるデータベースを目指す。
データベースは「GS1 Japan産業横断レジストリー」と名付けた。レジストリーとは、登録、登記、登録所、登録簿などの意味を持つ。デジタル分野では、外部から情報の登録を受け付け、まとめて保管しておくシステムや機関のことを意味する。
構築にあたっては、流通システム標準化の国際機関である「GS1」に加盟し、商品や企業・事業所の識別コードやルールの標準化などを推進する流通システム開発センター(GS1 Japan)と、日用品、化粧品、ペットフード・ペット用品のEDI(電子データ交換)サービスや商品情報データベースを提供するプラネット、食品業界のメーカーと卸売業間の商品情報を一元管理するジャパン・インフォレックスが連携する。
商品取引のネット化の拡大とともに、正確な商品情報の重要性がかつてないほど増している。この正確な商品情報とはメーカーなどの商品ブランドを持つ企業自身が提供するものであり、通常、「どの事業者の、どの商品か」を表すのはバーコードなどで使われるJANコードだ。国際的には「GTIN(Grobal Trade Item Number)」と呼ばれる。
流通システム開発センターが運営するデータベース(GJDB)内に商品情報レジストリーを構築し、サプライチェーン全体の商品情報授受の効率化のための取り組みを推進する。今回、日用品・化粧品・ペット関連のプラネット、食品業界のジャパン・インフォレックスが取り組み、3年後をメドに国内最大の日本型の商品情報レジストリーを構築する。
既に2月から、ジャパン・インフォレックスに食品メーカー(ブランドオーナー)などが登録したGTINに関連する商品の基本情報(商品名、商品カテゴリー、ブランド名、内容量)をGJDBと連携し、商品情報レジストリーの土台となる商品基本情報を蓄積し始めた。また、6月にはプラネットも商品情報の連携を開始した。