ロイター通信によると、アマゾンはステランティスとの提携で運送業界における地盤強化を目指すという。一方のステランティスは、クラウドサービスにつながる高度なインフォテインメントシステム搭載車の開発で、米EV大手テスラとの差を縮めたい考え。

 ステランティスのような大手自動車メーカーは、小口配送車両のEV化分野でスタートアップ企業とし烈な競争を繰り広げている。こうした中、アマゾンのようなEC巨人と提携することは、この市場で勝者となるための手がかりになると、ロイターは報じている。

ステランティス、ソフトウエア開発に注力

 ステランティスは自動車用ソフトウエアの開発に力を入れている。21年12月には「ソフトウエア・アカデミー」と呼ぶ社内研修施設を開設すると明らかにした。ここで技術者を再教育し、24年までに社内だけで4500人のソフトウエアエンジニアを確保する計画だ。

 アマゾンはこの分野でもステランティスに協力する。アマゾンのクラウドサービス子会社である米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とステランティスが共同で、ソフトウエアやデータ、クラウド技術などを対象にするカリキュラム「アジャイル・オートソフトウエア&データアカデミー」を立ち上げる。ステランティスはAWS関連のクラウド技術者も養成する。

 AWSが、車両プラットフォームにサービスを提供する優先的なクラウドプロバイダーになることでも両社は合意した。アマゾンはデジタルサービスの開発でも協力する。これについて、ロイターは、「ステランティスのような大手自動車メーカーは、ソフトウエアの更新によって新機能を迅速に提供したり、収益を生み出すサブスクリプション(定額課金)サービスを展開したりできるテスラの開発能力に追いつこうと躍起になっている」と報じている。

 ステランティスのカルロス・タバレスCEO(最高経営責任者)は声明で、「AIやクラウドソリューションを活用することで、当社は自動車を個人の生活空間に変える」と意気込みを示している。

 (参考・関連記事)「テスラはいかにして世界的半導体危機を回避したのか | JDIR