ウーバー、英国で最低賃金を保障

 ギグワーカーを巡っては2021年2月、英国の裁判所がウーバーの運転手を「労働者」と認める判決を下した。ウーバーは「運転手らは自営の請負業者であり、当社の役割は乗客と運転手をアプリを介してつなげる仲介者」と主張し上訴していたが、英最高裁判事が全会一致で下級審の判断を支持した。

 これを受け、ウーバーは21年3月、英国内で配車サービスに携わる運転手を労働者として扱うと発表。同国で働く約7万人の運転手を英国雇用法に基づく労働者に区分し、最低賃金を保障し、休暇手当や年金への加入機会も与えた。

 ただ、ウーバーは米証券取引委員会に提出した報告書で、英国における「労働者(Worker)」は同国雇用法固有の区分であり、「従業員(Employee)」とは異なると説明。税制面で「自営業者」として扱われるほか、働く時間や場所を選べるなど自由度が高いとした。

世界各国でギグワーカー保護、EUの影響力大

 ウーバーが本社を置く米カリフォルニア州では20年1月1日に、ギグワーカーを原則従業員として保護する州法「AB5」が施行された。ただ、同年11月に行われた住民投票でAB5から運転手らを除外する住民立法「プロポジション22」が成立。配車サービスや料理宅配などを例外扱いにすることが決まった。

 しかし、カリフォルニア州の裁判所は21年8月、例外を認めたこの法令は州憲法に違反するとの判断を下した。この訴訟はプロポジション22の無効を求めた国際サービス従業員労働組合(SEIU)などが提起したもので州の司法当局は合憲性を支持している。米ニューヨーク・タイムズによると、この問題を巡っては、今も法廷闘争が続いている。ウーバーなどのギグエコノミー企業は米マサチューセッツ州でも同様の法成立を目指しているという。

 また、スペインでは21年8月に、料理宅配企業の配達員を従業員とすることを義務付ける法が施行された。これを受け、ウーバーは、複数の人材派遣会社と契約を締結。直接雇用を避けながらウーバーイーツの配達員を確保する方法を取った。一方でデリバルーは新法に反発し、スペイン市場から撤退した。

 米CNBCによると、現在世界各国ではギグワーカー保護に向けた法の整備が進行中。だが、今回のEUの動きは最も影響力があるとみられている。欧州委によると、現在域内では約2800万人がギグワーカーとして働いている。域内のギグワーカー人口は25年までに4300万人に達すると欧州委は予測している。

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