小売大手、国際ブランドに対抗 販売減リスクも

 これまでにも米スーパーマーケットチェーン大手のクローガーが決済手数料を巡って対立し、ビザカードの取り扱いを一時停止したことがあった。16年には米小売り大手ウォルマートがカナダでビザと手数料協議の合意に至らず、20店舗でカード受け入れを停止。半年後に和解したケースもあった。

 だが、おおむね小売業界は、これまで高い手数料を容認してきた。ビザなどのクレジット国際ブランドが持つ膨大な顧客ネットワークにアクセスするための対価と考えているからだという。ここ数年は現金払いの比率が減り、新型コロナの影響でキャッシュレス決済が一気に進んだ。こうした中、小売業者にとってカード大手との対立は販売低下につながるリスクがある。

アマゾンは例外、アメックスやマスターカードと交渉中

 しかし、アマゾンは例外だと専門家は指摘する。英金融サービスのハーグリーブス・ランズダウンのアナリストであるローラ・ホイ氏は、アマゾンの今回の動きについて「決済サービス業界の重大な転換点だ」とし「アマゾンは、より多くの顧客を自社決済システムに誘導したい考えのようだ」と述べている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは現在、米国でJPモルガン・チェース銀行発行のビザ提携カードを提供している。プライム会員にポイント還元するこのカードは、米国の提携カードとして最も広く使われるクレジットカードの1つだという。

 一方、アマゾンは最近、提携国際ブランドとしてアメリカン・エキスプレスやマスターカードと交渉中で、米国でビザとの提携解消も検討しているという。また、英国ではマスターカードとの提携カードを持っており、今回のビザの取り扱い終了が、売り上げ減少につながる可能性は低いとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。