立法府や当局から圧力

 ただ、フェイスブックに対しては米欧の立法府や当局からの圧力が強まっている。今回の欧州でのメタバース開発計画は、同社にとって厳しいタイミングで発表されたと、CNBCは報じている。

 現在、同社は批判の真っただ中にあるという。発端は、フェイスブックで誤情報対策のプロダクトマネジャーを務め、今年5月に退職したフランシス・ホーゲン氏だった。同氏は米ウォール・ストリート・ジャーナルに内部文書を提供。それを基に一連の記事が公開され、波紋が広がった。

 内容は、「フェイスブックが児童保護などに関し自社に不都合な調査結果を隠していた」などとされるものだ。ホーゲン氏は米議会上院の商業科学運輸委員会が21年10月5日に開いた公聴会で証言。「幹部はフェイスブックとインスタグラムを安全にする方法を知っていたが必要な改良を行わなかった。彼らは利用者よりも、天文学的な利益を優先した」などと批判し、「立法府による措置が必要だ」などと訴えた。

 フェイスブックはこれに反論。告発者であるホーゲン氏の知識の範囲に疑問を呈しており、両者の主張は真っ向から対立している。ただ、この問題は同社が開発と雇用の拡大を進める欧州市場にも飛び火しそうだと指摘されている。

内部告発者、欧州議会でも証言

 CNBCによると、ホーゲン氏と、もう1人の内部告発者のソフィー・チャン氏は10月に英議会で証言する予定。ホーゲン氏は欧州議会にも呼ばれており、11月に開催される公聴会で証言するという。

 欧州委員会は20年12月にデジタル規制法案を公表しており、フェイスブックのような米テック大手に対する規制強化を狙っている。そのうちの1つ「デジタルサービス法」には、ホーゲン氏が主張する「透明性の確保」が盛り込まれている。サービスやアルゴリズム、コンテンツモデレーション(掲載内容のチェックと削除)などの手法に関する詳細の開示が義務付けられる可能性があると言われている。

 (参考・関連記事)「フェイスブックvs.内部告発者、対立長期化の兆し | JDIR