米国人の4割、リモートワーク望む
今回アマゾンが方針を変更した背景には、米国における労働市場の競争激化があると同紙は報じている。ハーバード大学大学院経営学研究科のセダール・ニーリー教授は「人々は柔軟な働き方を求めており、それを提供しない企業は人材を失う。アマゾンのジャシーCEOのようなリーダーたちはそのことを知っている」と述べた。
米マサチューセッツ・ミューチュアル・ライフ・インシュアランスが今夏、米国人労働者1000人を対象に実施したアンケート調査では、41%が「出社勤務の再開を待ち望んでいる」と回答した一方で、29%が「ハイブリッド勤務や在宅勤務を好む」、10%が「出社再開を良いとは思わない」とした。米シリコンバレーや米シアトルなど、IT(情報技術)大手が本社やオフィスを構える都市の住宅価格高騰も指摘されている。コロナ禍に伴う在宅勤務への移行を機に、米テキサス州などの他州に転居した人も少なくないという。
他のIT大手も柔軟な働き方
労働市場の逼迫を背景にIT大手は柔軟な働き方を打ち出している。米ツイッターは20年に、在宅勤務を無期限で認める方針を示した。職務環境が整う人はコロナ終息後も恒久的に自宅で仕事ができるとした。
ウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事によると、フェイスブックは当初、一部の社員を対象に完全在宅勤務を認めるとしていたが、21年6月にこれを拡大し、新入社員や新人エンジニアなども含むすべての社員に在宅勤務を許可すると明らかにした。マーク・ザッカーバーグCEOはこのときの社員宛てのメッセージで、「長期的な考えをまとめる余裕ができ、家族と過ごす時間が増えた。より幸せになり、仕事でも生産性が増した」と自らの体験を語り、自身も来年の半分はリモートワークにする予定だと述べた。
また、米マイクロソフトは21年9月、新型コロナの先行き不透明を理由に米国内オフィスへの出社再開を無期限に延期すると発表。全面再開の期日を設定しない方針を示した(米ニューヨーク・タイムズの記事)