企業がSDGsに取り組む意義は何か?
SDGsという言葉は昨今、メディアでも取り上げられる頻度が増えたため、世の中に広く知れ渡るようになった。しかし、企業がSDGsに取り組む意義やメリットまではまだまだ理解されていない。国際的なNGOであるGRI、国連グローバル・コンパクト、国際企業で構成される組織WBCSDの3者が作成したSDG Compassの中では、企業がSDGsに取り組む重要性として以下の5つを挙げている。
1. 将来のビジネスチャンスの見極め
SDGs は、地球規模の公的ないしは民間の投資の流れを、SDGsが代表する課題の方向に転換することを狙いとしている。そうすることにより、革新的なソリューションや抜本的な変革を進めていくことのできる企業のために、成長する市場を明確にしている。
2. 企業の持続可能性に関わる価値の向上
企業の持続可能性のための理論的根拠はすでに十分に確立されているが、(環境コストなどの)外部性がますます内部化されるに伴い、SDGs は、例えば、企業が資源をさらに効率的に利用し、あるいは、より持続可能な代替策に転換するような、経済的なインセンティブを強化する。
3. ステークホルダーとの関係の強化、新たな政策展開との同調
SDGs は、国際、国家、地域レベルで、ステークホルダーの期待と将来の政策の方向性を反映している。SDGsと経営上の優先課題を統合させる企業は、顧客、従業員その他のステークホルダーとの協働を強化できる一方、統合させない企業は、法的あるいはレピュテーションに関するリスクにますますさらされるようになる。
4. 社会と市場の安定化
社会が機能しなければ、企業は成功できない。SDGsの達成に投資することは、ルールに基づく市場、透明な金融システム、腐敗がなく、よくガバナンスされた組織など、ビジネスの成功に必要な柱を支援することになる。
5. 共通言語の使用と目的の共有
SDGs は、共通の行動や言語の枠組みを提供することにより、企業が、その影響やパフォーマンスについて、より一貫して、そして、より効果的に、ステークホルダーと意見交換を行うことを支援する。SDGs は、世界の最も緊急な社会的課題に取り組むために相互に協力できるパートナーを結び付ける。
企業がSDGsに取り組む場合、アウトサイド・インの考えに基づき、社会課題解決から自社の新事業創出である「1.将来のビジネスチャンスの見極め」に目が向けることが多い。
しかし、多くの日本企業は、近江商人の心得である三方よし(売り手・買い手・世間)の精神が根付いており、自社の既存事業でもSDGsに十分貢献している。SDGs視点での新たな事業創出とともに自社の既存事業が三方、特に世間にどんなよい影響があるかを改めて認識することも重要なSTEPとなる。