FBが豪州で強硬策、豪政府譲歩

 一方で、オーストラリア政府は21年12月、EUの著作権指令に似た法案を議会に提出した。この時、フェイスブックとグーグルは反発した。

 フェイスブックは「報道機関はフェイスブック上の自社ページで記事を掲載している。自社のウェブサイトには当社サービス用ボタンを設置し、利用者による記事の共有を促している。それらがニュースフィードに表示されているだけだ。当社が収集したものでもない記事に対し、法外な使用料の支払いを求める法は当社と報道機関の関係を根本的に誤解している」と主張。

 同社は21年2月に、豪国内サービスで、同国報道機関と海外報道機関の記事を遮断。豪報道機関の記事を世界中で閲覧できなくする強硬策を取った。その後、豪政府は譲歩した。法を回避できる文言を追加して修正。豪連邦議会はこれを賛成多数で可決した。

新サービスで対価支払う戦略

 フェイスブックやグーグルは、ニュースフィードやネット検索といったそれぞれの主力サービスでの対価支払いを拒否しながら、新たに立ち上げたサービスで報道機関とパートナー関係を築く戦略をとっている。

 フェイスブックはニュースフィードとは別に、報道機関から配信される記事の見出しと要約を掲載し、対価を支払う「フェイスブック・ニュース」の世界展開を進めている。

 グーグルもネット検索や「グーグルニュース」とは異なる新サービス「グーグル・ニュース・ショーケース」を20年10月に一部の国で開始。報道機関に記事の使用料を支払っている。

 しかし、仏当局は「(グーグルは)検索結果に表示される記事の使用料に言及せず、新サービスの契約を迫っている」と批判。こうした、従来サービスの協議を回避する行為を認めない考えだ。

 (参考・関連記事)「フェイスブック、ニュース記事の対価巡る騒動収束か