CNBCによると、ネットフリックスやアマゾンはオリジナル作品やライセンス契約による作品がそれぞれ1000本以上ある。これに対しApple TV+のオリジナル作品は約90本にとどまる。アップルは独占配信などの契約を結んでいない。また、アマゾンは先ごろ、米映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)を買収し、コンテンツ強化を図ると明らかにしたが、アップルはそうした動きを見せていない。

3強に対抗、メディア再編のうねり

 動画配信市場は巣ごもり消費の拡大で急成長した。米国では近年、「コードカッター」と呼ばれる、ケーブルテレビ契約をやめる人が急増している。こうした中、既存メディア大手もダイレクト・トゥ・コンシューマーズと呼ばれる動画配信事業に注力。ネットフリックス、ディズニー、アマゾンの3強に対抗すべくシェア拡大の道を探っている。

 例えば、21年5月17日には米通信大手AT&Tが傘下のメディア事業であるワーナーメディアを分割し、同業大手の米ディスカバリーと経営統合することで合意したと発表した。新会社の名称は「ワーナーブラザース・ディスカバリー」。合併手続きは規制当局の承認などを経て2022年半ばに完了する見通しだ。

「アップルの狙いはハードウエアを通じた体験」

 その一方で、アップルの狙いはハードウエア製品のエコシステム(生態系)に顧客を取り込むことであり、ネットフリックスやディズニーなどの動画大手と直接対決することではないようだと、パークスアソシエイツのリサーチ・ディレクター、スティーブ・ネイソン氏は分析している。

 同氏によると、「アップルのハードウエアを購入することで、Apple TV+やApple Music、ポッドキャスト(音声番組)、ニュース配信、フィットネスなどのサービスを体験できるようになります」とアップルは顧客に訴えたいのだという。「アップルにとっては、アプリを通したサブスクなど、総合的な加入者数が重要なのであって、動画配信の加入者数はさほど重要ではないのだろう」とネイソン氏は指摘している。

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