(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)
今年(2021年)に入って以降、日本では政府系のソフトウェアやシステムの不具合の発覚が後を絶ちません。中には、かねてより不具合が指摘されながら、長らく修正対応が放置されていた、などという呆れた例もみられます。コロナ対策でアプリを活用している台湾や中国と比べ、IT分野における日本の立ち遅れがコロナ禍を機に目立つようになってきました。
ではなぜ日本のITは立ち遅れるようになったのか。理由は様々ですが、1つの原因として日本人の過度なハードウェア信仰、そしてそれに伴うソフトウェア軽視の風潮があるように見えます。
今回は、日本のITがなかなか進展しない特殊な背景について見ていきたいと思います。
接触確認アプリ、ワクチン接種予約で混乱
新型コロナ対策に関連するソフト不具合事件としては、接触確認アプリの「COCOA」と、ワクチンの接種予約アプリが真っ先に上がってくるでしょう。どちらも政府発注によって作られた官製ソフトですが、稼働当初より不具合が多数発生し、利用者およびメディアから多くの批判が寄せられています。