ニューノーマルが到来し、企業にはこれまで以上にテクノロジーの活用、働き方改革、そしてDXという変化が求められている。しかし、それらの取り組みが思うように進まない企業は多いのではないだろうか。
大手住宅メーカーの積水ハウスは、「働き方改革」が話題になる前の2009年頃から、持続可能な社会の実現に向けて「まずは自社の社員を幸せにすること」を目指し、ITによる業務の効率化に乗り出していたのだという。改革を成功に導くための勘所について、積水ハウス株式会社 IT業務部長 宍倉正人氏に話を聞いた。
「住まい手」の幸せのために何をすべきか
――今、働き方改革が企業や社会の大きな課題になっていますが、これまでに取り組んできた施策について教えてください。
宍倉正人氏(以下、宍倉氏) 当社は働き方改革という言葉が出る前に、別の文脈から布石を打ってきました。その背景にあるのが、企業としてのビジョンです。お客様である「住まい手」にどのような価値を提供するのか、30年1フェーズとし、第1フェーズは住宅難の日本に工業化住宅を提案し、人命と財産を守る暮らしに「安全・安心」を提供、第2フェーズは、高付加価値住宅へと事業領域を拡大し「快適性・環境」を追求してきました。
そして今は、「人生100年時代の幸せ」を提供する第3フェーズ。グローバルビジョンとして「“わが家”を世界一 幸せな場所にする」を掲げています。そこでは、幸せに暮らして頂くための住まいを提案する我々、つまり、積水ハウスグループの従業員と取引先といった関係者が幸せでないと「住まい手」に幸せを提供することはできない、という考えが前提になっています。
健康な状態で働き続けることができ、生きがいや誇りを感じる業務環境をつくるために、第2フェーズの後期にあたる2010年から、4つの施策「コア情報一元化による業務連携の再構築」「CADプラットフォームの構築」「デジタルファースト」「真の働き方、業務変革」をスタートしました。2015年頃からは社会的にも働き方改革が話題になり始め、そこに合流したということになります。