以前は『現場の勘に基づく仮説立案が主流』『集客や販売促進施策への効果検証が不十分』であったのに対し、コロナ禍では『従来の現場の勘に基づく仮説が立てられない(変化する顧客傾向の把握、それに基づく施策立案)』『外出自粛に伴うオンラインでの集客と良好な関係づくり』が課題です。ポストコロナ環境においてデジタル活用によるビジネスシフトは、リテール業界にとっての急務と言えるでしょう」

 上記を受け、山本氏は次のように要点を示した。

●顧客との“オンライン、オフライン”双方のつながりがより重要になっている
●顧客傾向の把握、オンライン接点の強化、体験価値向上、施策の効果検証が必須

リテールの課題を解決するOne Data Marketing Platform

 同社は長らく電気通信事業者として確固たる地位を築いてきたが、こうした環境にあってeコマース・電子決済・エネルギーといったライフデザイン領域の事業にも注力している。

「これらは、お客さまの活動を“データ”(キャリアデータを基にした高精度のデータ・DSPオーディエンスデータや外部分析データなどの豊富なデータ)として捉え、お客さまの同意を得ながら次なる事業に活かしていくものになります。取り組みで得たノウハウ、ソリューションを企業・自治体さまに活用いただきながら、さまざまな課題解決にお役立ていただくのがわれわれの使命だと考えています」

 KDDIのグループ企業であるSupership株式会社も、そうした取り組みから誕生した。

 KDDIのオープン領域における事業拡大の推進を目的として設立されたSupershipホールディングス。その中核企業として5社合併によるSupershipを設立し、その後も多くのスタートアップ企業のM&Aによりグループを拡大してきた。スタートアップ企業のスピード感と高度なテクノロジーに加え、大企業のアセットをもとにビジネスを展開するハイブリッドスタートアップとして成長を続ける。インターネットの世界からリアルの領域まで、グループ各社のデータとテクノロジーを強みに、あらゆる分野での事業拡大・新規事業の創出を目指しているという。