日本の品質はやはり強い。

 昨今、さまざまな不適格行為が発覚し、日本の品質神話が崩壊したとの論調もあるが、決して日本企業の品質が劣化したわけではなく、諸外国に比べて、その優位性は現在も保たれている。

 世界に先駆けた技術開発に加え、緻密な理論と繊細な感性で実直に積み上げてきたQC活動がベースとなって、戦後の日本経済の成長は支えられてきた。「Made in JAPAN=信頼がおける」といったイメージは今もなお、世界市場の共通認識であることは間違いない。

 1990年代以降のISO9001の普及に見るように、品質保証活動の中心は品質マネジメントシステム(QMS)の構築にシフトしてきた。QMSがその真価を発揮するのは、QCの技術、全社的QC活動に支えられているからである。日本は今後も、品質を取り巻く環境の変化に常に追従し、さらには先取りをしていかなくてはならない。

アフターコロナではさらなる品質の誇示が最重要になる

 コロナ禍では製造業の国内回帰が進むことが予測される。これまで積極的に海外生産にシフトしてきた流れが大きく変わろうとしている。

 中国などの海外生産との競争となると、国内生産ではより高付加価値な製品を同等以上のコストパフォーマンスで生産する能力を持たなければならない。例えば、スマートファクトリー化を一層加速させるなど、高生産性を追求したものづくりが進むであろう。

 そのときに最も武器となるのは、やはり日本製の品質の強さである。国内生産であるからこその品質の強さを、これまで以上に発揮しなければならない。

 品質を取り巻く環境はこれまでもさまざまな課題を抱えており、刻々と変化し続けている(新型コロナもその変化の要因の一つである)。品質管理の原理原則、QMSの原則は普遍的なものであるが、ものづくりの環境が変われば、その適用・応用の仕方も当然のことながら変化する必要がある。

 製造品質の基本要素である4M+E(Man、Machine、Material、Method、Environment)に関わる前提条件や技術が変われば、そのコントロールの仕方も変わる。そしてまた、さらに高い生産性を実現しようとすれば、測定や制御をはじめ、先進的な技術の開発、導入も必要となってくる。強い品質を実現する成否は、これらの変化にどう対応するかによって決まる。