米ネバダ州の砂漠の真ん中に位置する、魔都・ラスベガス。
1月6日(日)の午後、今年もまた「CES 2019」に参加するため、ラスベガスの玄関口、マッカラン国際空港に降り立った*1。
CESは言わずもがな、世界最大の民生技術(Consumer technology)の展示会である。民生技術ということは、すなわち軍事技術以外は何でもあり、ということでもある。
ちなみに、CESの出展社は4500社、来場者は18万人超。来場者のうち3分の1強は中国、韓国をはじめとする海外勢である。ここ数年、かつての日本勢の存在感と輝きが年を追うごとに弱くなっているのは、非常に残念なことだ。
*1:展示会は1月8日(火)から1月11日(金)までだが、各社の記者会見や基調講演は会期に先立って行われることもある。
CES 2019を読み解く4つのキーワード
まず、CES 2019の大まかな流れを理解するために、主催者であるCTA(全米民生技術協会:Consumer Technology Association)によるトレンド分析「CES 2019 Trends to Watch」を見ていこう。
CTAの見立てによれば、過去20年は「デジタルの時代」(2000年〜)、「コネクテッドの時代」(2010年〜)と遷移し、これからは「データの時代」に突入して、AIが人々の生活に溶け込むことで真の意味での「スマート」が始まるという。
事実、筆者が後述する基調講演や展示を通じて垣間見たのは、AIや次世代通信規格5Gなどの基幹技術が、人間の生活のほとんどすべての領域に広く深く入り込み、時間や空間など物理的な制約で人間がこれまでできなかったことの垣根を取り払って、人間が持つ能力の可能性を大きく拡張していくという未来予想図だ。
それら基幹技術は、自動運転、スマート家電、ヘルスケア、スポーツテック、ロボティクス、XR(VR/ARなど)、さらにはレジリエント(防災・減災)関連製品に至るまで、IoTを活用したテクノロジーとお客さまとのあらゆる「接点」において、カスタマーエクスペリエンス(お客さま体験)を変えていく。
そして、あえて一言付け加えるならば、カスタマーエクスペリエンスをお客さま主語でチューニングするのはAIそのものではなく、他でもない人間の役割(企業内のマーケティング部門の社員の主要タスク)ということになるだろう。