Plug and Play Japan始動。ヴィンセント氏が掲げる四つの目標

Plug and Play Japan 代表取締役 マネージング・パートナー フィリップ・誠慈・ヴィンセント氏

 やるべきことはいくつもあったが、ヴィンセント氏は以下の三つを当初のTo doに挙げた。

①オフィスの場所を決めること
②支援してくれる大企業も増やしていくこと
③日本で展開すべきテーマを決めること

 立地は最後まで迷ったが、「Plug andPlayなら渋谷がカルチャーフィットだ」と感じて渋谷に決めたという。協力を買って出てくれたのは東急不動産だった。こうして17年11月、東京渋谷にPlug and Play Japanのオフィスがオープンした。コワーキングスペースを備えるオフィスは珍しく、シリコンバレーの本社オフィス以外にはあまり例がないという。

「日本に必要なのは、グローバルに開かれたハブとなる場所をまず持つことだと考えたんです。今までは海外企業にも開かれているようなスペースがありませんでした。それならば私たちが用意しようと考えました」と、コワーキングスペースを備えた理由を語る。

「やるべきこと」の二つ目、サポーター企業を増やす点はどうだったのか。こちらも順調な滑り出しだったとヴィンセント氏は言う。シリコンバレーで多数の日本企業とリレーションを築いてきたこともあり、「日本でやります」というアナウンスをすると多くの日本企業が動き、ファウンディングパートナー10社が早々に出そろった。そして「やるべきこと」の三つ目のテーマ設定は、パートナー企業との話し合いの末、FinTech、IoT、InsurTech(保険×テクノロジー)に決定。日本で最初のアクセラレーションプログラムである「バッチ0」として稼働を開始した。オフィス開設から1年が経過した今、目指しているものは何かを尋ねると、ヴィンセント氏はこう答えてくれた。

「四つの目標があります。一つはグローバル・イノベーション・プラットフォームとして日本のスタートアップエコシステムをどんどん底上げしていくこと。二つ目がハブとして本格的に機能していくこと。三つ目が日本国内のスタートアップ企業にグローバルなチャンスを提供するアクセラレート。四つ目は海外企業に向けて日本が入りやすい国だと知ってもらい、多くの海外スタートアップ企業に訪れてもらうことです。内外のベンチャー企業が集まるようになったら、いずれ投資も考えていますが、まずはこれら四つで確かな実績を積み上げていきたいと思っています」

 上陸から1年。この間にもさまざまな出来事があったというが、その詳細については次回、後編で語ってもらう。